3. 高収入カップルの注意点3. 「厚生年金」の受給額は今の年収だけで判断できない
厚生年金の保険料は現役時代の収入によって決まることがわかりました。正確には4~6月の給与をもとに算出した「標準報酬月額」で決まる保険料と、賞与にかかる保険料をそれぞれ納めます。
納めた保険料や加入期間によって年金額が決まるため、「多く稼いだ人」「長く働いた人」がたくさん受給できるということですね。
つまり、現役時代の全体をとおした収入が関わるため、現在の年収だけで将来の年金額を予想することは難しいのです。
夫700万円妻700万円の世帯年収1400万円夫婦を仮定して、いくつかのパターンをシミュレーションしてみましょう。
3.1 年収がずっと700万円だった場合
- 40歳
- 22歳~60歳まで正社員として勤務
- 38年間の年収の平均は700万円
- 65歳から年金受給開始
- 20歳~22歳の国民年金も含め、40年間未納期間なし
上記の場合、一人当たりの年金は217万円となりました。
夫婦の給与が同じ水準だった場合、合計で434万円です。
3.2 一人が途中でフリーランスとして独立した場合
- 40歳
- 22歳~40歳まで正社員として勤務
- 上記期間の年収の平均は700万円
- 41歳からフリーランス
- 65歳から年金受給開始
- 20歳~22歳の国民年金も含め、40年間未納期間なし
もし夫婦のどちらかが41歳で独立した場合、その人の年金は143万円に下がります。会社員として働くもう一方が217万円を受給するなら、合計は360万円となります。
ちなみにずっとフリーランスで国民年金のみの場合、満額でも77万7800円(2022年度の水準)。もしフリーランスとして多くを稼いだとしても、基本的に国民年金の満額以上は望めません。
ずっと会社員だったとしても、年収は年齢とともに変わることが一般的です。
例えば20代の年収を500万円、30代を600万円、40代を700万円、50代を800万円として試算したところ、年金年額は208万円になりました。
つまり、今の年収だけで判断せず、ねんきん定期便やねんきんネットなどを駆使して正確にシミュレーションする必要があると言えます。