11月に入ると、給与所得の場合、会社から年末調整の用紙が配られます。そして、該当する人は必要事項を記入して、証拠となる書類を添付して提出しなければなりません。

ただ、なかには年末調整を行っても確定申告が必要になるケースもあります。対象になるのはどのような人なのでしょうか。

今回は年末調整を行っても確定申告が必要になるケースを紹介するとともに、確定申告の際に注意すべき点についても解説します。

年末調整とは?

通常、給与所得者は毎月支払われる給与から住民税や所得税、社会保険料などを差し引かれます。

ただし、ここで用いている所得税額はあくまでも概算額で正確なものではありません。そのため、会社は年末調整の内容、そして12月に支払う給与で正確な所得税額を算出し、その差額を調整します。

最終的に差し引かれた所得税額が多かった場合は12月の給与支払時に還付されますし、逆に少なかった場合は、追加で徴収されます。

年末調整とは、このように1年間の所得税を精算する意味を持っています。

年末調整でできること

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出所:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

出所:国税庁「給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)」

年末調整では、以下のことが行えます。

  • 配偶者や扶養対象家族の申告
  • 生命保険料控除の申告
  • 地震保険料控除の申告
  • 小規模企業共済等掛金控除の申告(iDeCoの加入者)
  • 住宅ローン控除の申告

など

最終的な税額を計算するための手続きですので、該当するものについてはもれなく申告するようにしましょう。

年末調整を行っても確定申告が必要なケース

年末調整を行っても確定申告が必要なケースとは、次に当てはまる場合です。

年末調整をしても確定申告が必要なケース. 副業による収入がある人

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umaruchan4678/shutterstock.com

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副業によって収入がある人は、その所得に応じて所得金額を計算し、確定申告を行わなければなりません。

例えば、自分が所有している不動産を人に貸すことで賃料収入を得ている場合は、不動産所得になりますので、その年の賃料収入から必要経費を差し引いた額を不動産所得金額として申告する必要があります。

また、自分の得意なスキルを活かして講演や執筆などを行い、それによって収入を得た場合は雑所得になります。雑所得の場合、収入額から必要経費を差し引いた額が20万円を超える場合に確定申告が必要です。

さらに副業先からも給与収入がある場合は、副業で受け取った給与所得額が20万円を超える場合に確定申告が必要です。

年末調整をしても確定申告が必要なケース. 生命保険の満期保険金を受け取った人

生命保険の満期保険金は、その保険料を自分で支払っていた場合は一時所得に該当します。

一時所得金額の計算は、(収入(満期保険金額)−支払った保険料額)−50万円です。そして、その額が20万円を超える場合は、確定申告をしなければなりません。

満期保険金だけでなく、解約返戻金を受け取った人も同じです。

年末調整をしても確定申告が必要なケース. 不動産を売却した人

自分が所有していた土地などの不動産を売却し、売却益を得た場合は譲渡所得に該当しますので、譲渡所得金額を計算して申告する必要があります。

譲渡所得金額の計算は、不動産を保有していた時期などによって異なりますので、国税庁のサイトなどで譲渡所得金額の計算方法を確認し、申告するようにしましょう。

ちなみに売却時(厳密には譲渡した年の1月1日)の保有期間が5年以上の場合、以下の計算式を用いて譲渡所得金額を計算します。

(収入金額 - (取得費+譲渡費用)−特別控除額)×15%

年末調整をしても確定申告が必要なケース. 医療費控除の適用を受ける人

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umaruchan4678/shutterstock.com

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医療費控除は年末調整では申告できないため、1年間に支払った医療費の合計額が10万円を超える場合は、確定申告をすることで控除額の還付を受けられます。

年末調整をしても確定申告が必要なケース. 住宅ローン控除適用1年目の人

住宅ローンを利用して家を購入し、住宅ローン控除の適用を受ける最初の年は、必ず確定申告で行わなければなりません。年末調整では申告できない点に注意が必要です。

また、確定申告の際に必要書類となる多いため、事前に準備しておきましょう。

年末調整をしても確定申告が必要なケース. ふるさと納税のワンストップ特例の適用が受けられない人

ふるさと納税には、「原則として確定申告が不要な給与所得者」で、「寄付先の自治体の数が5団体以下」という要件を満たすことで利用できるワンストップ特例があります。

ただし、「医療費控除で確定申告が必要」、「寄付先の自治体の数が5団体を超える」場合は、確定申告で寄付金控除として申告しなければなりません。

2022年度分の確定申告を行う際の注意点

2022年度分の確定申告では、昨年と変わった点がいくつかあります。

申告書の様式が統一

昨年まで、確定申告を行う際の申告書には「申告書A」と「申告書B」の2種類がありました。しかし、今年からは申告書Aが廃止され、全て申告書Bに統一されます。

昨年まで副業に伴う雑所得を申告する際に申告書Aを利用していた給与所得者も、申告書Bを使って申告しなければなりません。

そのため、様式の内容も一部変更となり、副業で収入がある一部の人に提出が必要とされている「収支内訳書」についても、その内容が「雑所得(業務)」もしくは「事業所得(営業等)」なのかを選べるようになっています。

提出が必要となるのは副業で得た雑所得の金額について、前々年度の売上額が1000万円を超えている場合です。該当する人は、忘れずに提出するようにしてください。

年末調整と確定申告の仕組みを理解して正しく申告しよう

年末調整と確定申告は、それぞれに重要な意味を持っています。年末調整でできること、そして確定申告でしかできないことの内容をしっかりと理解し、正しく申告するようにしましょう。

また、年末調整の報告内容に間違いがある場合は、確定申告で申告し直す必要があります。申告し直すことで税金の還付を受けらえる可能性もありますので、忘れずに申告するようにしてください。

参考資料

新井 智美