「奥さんには言えないんだけど、私立は落ちてくれないかなって心底思ってる…。国立に受かってくれれば」――これは子供の私立小学校受験を控えた年収1千万円のサラリーマン、いわゆる「1千万円プレーヤー」のつぶやきです。年収1千万円を超えたことでお受験を決意したものの、今後十数年かかる教育費の捻出に頭を悩ませる1千万円プレーヤーは思いのほか多いといいます。

私立小学校に通う場合の学習費総額は年間150万円超! 手取り収入の2割?

文部科学省が2年に1度発表している「子供の学習費調査」。直近の平成26年度調査によれば、私立小学校に通わせた場合の学習費総額は約154万円で公立の4.8倍に相当します。その内訳は、学費などの「学校教育費」が約89万円(公立の15倍)、「学校給食費」約5万円(同1.1倍)、塾や習い事などの「学校外活動費」約60万円(同2.8倍)となっています。

世帯主が1千万円プレーヤーで配偶者に収入がない場合、税金や社会保険料を差し引いた手取り収入は700万円台になることが多いと考えられます。仮に手取りが750万円だとすれば、私立小学校に通わせる場合、学習費は実に手取りの2割を占めることになります。

「ベンツを買ったつもりで…」 “お受験”にかかる費用もバカにならない

この調査では世帯の年間収入と学習費の関係についても公表されています。これによると世帯年収が400万円未満の場合、公立小学校に通わせた時の学習費総額が約24万円であるのに対し、私立だと約103万円。一方、世帯年収1,200万円以上の場合、学習費総額は公立小学校約76万円に対し、私立では約178万円となっていて、世帯年収が上がるほど学習費も上昇する傾向が見て取れます。

さらに、必要になるのは入学後の費用だけではありません。忘れてはならないのが“お受験”にかかる費用。塾の月謝からお受験用スーツや小物に至るまでトータル300万円~500万円の出費になったという話はザラ。「ベンツ1台我慢して子供の選択肢が広がるのなら」「お受験にかかった費用を思えば入学後にかかる学費はさほど苦ではない」という声もあるほどです。

もちろん、地域や入学する学校にもよりますし、住宅ローン、貯蓄、祖父母からの援助の有無などによっても変わりますが、1千万円プレーヤーにとってのお受験は金銭的な面でも過酷なレースになりがちだといえます。

まとめ

「子供の学習費調査」では、仮に幼稚園から高校まで(3~18歳)の15年間を通して私立に通わせた場合、かかる費用は約1,770万円になるとされています。これはすべて公立の場合の約3.4倍です。1千万円プレーヤーになるまでに徐々に生活水準を上げてきてしまっている人にとってはかなり厳しいやりくりが必要になるでしょう。

1千万円プレーヤーになったことでお金の悩みから解放されるのかと思えばそうではなく、また新たなお金の憂鬱が待ち受けているのかもしれません。

LIMO編集部