4. 繰り下げ受給をした方がいい人

ここまで、繰り下げ受給の注意点を述べてきましたが、ここからは「繰り下げ受給をした方がいい人」を紹介します。当てはまる人は繰り下げ受給を検討してみるとよいでしょう。

4.1 繰下げ受給をしたほうがいい人1.健康に自信がある人

繰り下げ受給は長生きすればするほど得になります。健康に自信があり長生きしそうな人は、仕事を長く続けて、その分繰り下げ受給をして年金額を増やしておくといいでしょう。

「令和3年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.47歳、女性の平均寿命は87.57歳となっています。そのため、女性は男性よりも繰り下げ受給を選択した場合の恩恵を受けやすいといえます。

4.2 繰下げ受給をしたほうがいい人2.老後も収入を得られる人

自営業者など、定年がなく年金が基礎年金だけの人は、仕事を続けて生活費を確保し、年金は繰り下げて、年金額を増やしておくといいでしょう。

会社員で仕事を続ける場合は、給料と年金額によっては年金が支給停止となる「在職老齢年金」に留意しましょう。支給停止となった部分の年金は、繰り下げ受給をしても増額されません(基礎年金には影響ありません)。

出所:在職老齢年金の支給停止の仕組み|日本年金機構

給料と年金を合わせて月額47万円を超えなければ、気にする必要はありません。

4.3 繰下げ受給をしたほうがいい人3.夫婦の一方の年金で生活できる人

一方の年金で生活をし、もう一方の年金を繰り下げておけば、もう一方の年金が増額できます。

たとえば、夫は老齢厚生年金と老齢基礎年金の両方を受給でき、妻は老齢基礎年金だけであった場合、夫の受給額が夫婦2人で生活していくのに充分な額であれば、妻の年金を繰り下げて増額させることができます。

専業主婦世帯の場合は、妻の年金額が少ないことがネックとなっているので、この方法は有効です。また、女性は男性より長生きする傾向があるので、繰り下げ受給が有利に働く可能性は高いでしょう。