年々増加する高齢者のひとり暮らし。その人数がどのくらいか皆さんはご存知でしょうか。
内閣府の「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者のうちひとり暮らしをしている人の割合は2020年時点では男性15.0%、 女性22.1%でした。
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出所:内閣府「令和4年版高齢社会白書」
そして、高齢者のひとり暮らしの傾向は今後も増加傾向にあり、2040年には男性20.8%、女性は24.5%になると予測されています。
ここで問題となるのが、ひとり暮らしでも問題なく過ごせるだけの「健康状態」や「貯蓄などの経済状態」を老後の年金生活に入っても維持できるかという点です。
そこで今回は、今の70歳代のひとり暮らし世帯の貯蓄や年金、就業状況について見ていきながら、高齢者のひとり暮らし問題について考えていきたいと思います。
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1. 70歳代ひとり暮らし。貯蓄は二極化へ
それでは最初に、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査]令和3年調査結果」を元に70歳代・単身世帯の貯蓄事情について見ていきましょう。
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出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和3年)」をもとにLIMO編集部作成
このデータによれば、70歳代ひとり暮らしの貯蓄の平均は1786万円、中央値は800万円です。
平均は一部の富裕層に影響され実態より数値が大きくなるため、ここでは中央値を参考にしましょう。
以下は貯蓄額ゼロから貯蓄額3000万円以上までの貯蓄額ごとの分布です。
- 無回答:1.6%
- 金融資産非保有:25.1%
- 100万円未満:5.3%
- 100万~200万円未満:3.3%
- 200万~300万円未満:2.7%
- 300万~400万円未満;2.7%
- 400万~500万円未満:2.0%
- 500万~700万円未満:6.2%
- 700万~1000万円未満:5.3%
- 1000万~1500万円未満:10.4%
- 1500万~2000万円未満:7.1%
- 2000万~3000万円未満:8.2%
- 3000万円以上:20.2%
この結果によれば、「金融資産非保有=貯蓄ゼロ世帯」は25.1%です。4人に1人が貯蓄ゼロ状態で老後を過ごしているということになります。
対して、貯蓄3000万円以上の割合を見てみると、20.2%と約5人に1人は潤沢な老後資金を保有しています。
最近はテレビやネットで「日本人総貧乏」や「日本人は全員貧乏になる」などという言葉を聞くことも多いですが、実際は貯蓄を「持っている人」と「持っていない人」の大きな二極化が進んでいるようですね。
2. 70歳代「ひとり分の年金」はいくら貰える?
先程は70歳代の貯蓄事情について見ていきましたが、老後の生活の柱となるのは公的年金です。
ここからは、厚生労働省年金局の「令和2年度 厚生年金・国民年金事業の概況」をもとに70歳代のひとり暮らし世帯は、いくらぐらいの年金を受け取れるのかを見ていきましょう。
厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金・国民年金事業の概況」による、国民年金と厚生年金の平均月額は以下の通りです。
2.1 国民年金の平均月額
全体平均年金月額:5万6252円
- 男性平均年金月額:5万9040円
- 女性平均年金月額:5万4112円
2.2 厚生年金の年金月額
全体平均月額:14万4366円
- 男子平均月額:16万4742円
- 女子平均月額:10万3808円
※国民年金部分も含む
最近は会社員の方でも独立してフリーランスとして働く人も増えてきましたが、自営業やフリーランスの人が受け取れる年金の種類は、国民年金と「会社員として働いていた期間分の厚生年金」のみです。
仮に老後、国民年金しか受け取れない場合は毎月約5万円代の年金で生活をしていかなくてはいけないことになります。
これだけで生活を送るとなると非常にシビアなものになるので、特にフリーランスや自営業の方は年金だけでなく、自分でiDeCoなどの私的年金を活用して年金の足しになる老後資金を準備しておく必要があるでしょう。
また、会社員などで働いて厚生年金と国民年金の両方を受け取れる場合でも全体平均月額は約14万円です。
老後は現役時代に比べて生活費もそこまでかからないとお考えの方も多いと思いますが、持ち家か賃貸かなどで月に必要な生活費は変わってきます。
生活費はかからずとも、介護状態になった時に施設に入るためのまとまった費用は準備しておきたいですよね。
そのため、会社員の方も年金だけでなくNISAやiDeCoを活用して老後資金の準備を始めておくと良いでしょう。
3. 70歳代で働くひとの割合は?
最後に厚生労働省の「令和4年版 高齢社会白書」をもとに70歳代の就業状況を見ていきましょう。
このデータによれば、70歳代前半の32.6%、75歳以上の10.5%が働いています。
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出所:厚生労働省の「令和4年版 高齢社会白書」
多くの方が既にご存知かもしれませんが、70歳代の就業率は年々増加しており、今後も高齢者の労働人口者数が増加傾向にあることはメディアでも度々報道されています。
医療技術の進歩により寿命は長くなっていますが、一方で老後の頼りとなる年金が増えていく見込みは残念ながら期待できませんよね。
先の見えない未来に、働けるうちは働いて収入を得ようと頑張るシニアが増えている時代ですが、年齢を重ねていけば働くにしても限界があります。
これからは、労働による収入だけでなく資産運用を活用して上手にお金を増やしたり、老後も投資・運用しながら老後資金の寿命を延ばしていけるような環境づくりが必要と言えるでしょう。
4. まとめにかえて
今回は70歳代のひとり暮らし世帯の貯蓄・年金、就業状況について見てきました。
最近は独身の方も多いですが、結婚している方でも配偶者が亡くなって1人で生きていかなくてはいけない状況はいつか来ます。
そのときに、「自分ひとりだけでは生活できない」と困らないためにも、早い段階から「将来いつ1人になっても何とか生活していける環境」を準備することを考え始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
鶴田 綾
