10月1日から中旬までの間、全国で最低賃金が引き上げられています。
改定額の全国加重平均額は961円(昨年度930円)となっており、全国加重平均額で31円の引上げは過去最高に。
最低賃金の引き上げにより、パートタイムで働く方の時給もだんだんと上がっていますが、一方で社会保険料や税金を払わないように労働時間を調整する「就業調整」をおこなう方も少なくありません。
株式会社野村総合研究所によれば、1992~2021年のパート労働者の時給をみると年々上昇しているものの、1人当たりの月間総実労働時間が減り、結果的に年収はほぼ横ばいで推移しています。
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今回は株式会社野村総合研究所が全国の20~69歳でパート・アルバイトで働く配偶者のいる女性(以下「有配偶パート女性」)3090人を対象に行った「就業の実態や意向」の調査より、有配偶パート女性の就業調整や「年収の壁」への考え方をみていきましょう(2022年9月30日公表)。
有配偶パート女性の6割超が行う就業調整
同調査によれば、「あなたは、自身の年収額を一定の金額以下に抑えるために、あなたのパート・アルバイトの就業時間や日数を調整していますか」という質問に対し、61.9%が「調整している」と答えています。
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出所:株式会社野村総合研究所「有配偶パート女性の 6 割以上が 年収を一定額以下に抑える「就業調整」を実施」
有配偶パート女性の6割以上が就業調整を行っており、改めて「年収の壁」の影響がわかります。
「年収の壁」はいくつあるのか
一般的に言われるパートタイムの「年収の壁」は6つあります。
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出所:内閣府男女共同参画書「令和4年版男女共同参画白書」
パートタイムの年収の壁6つ
- 100万円:本人の所得に対して住民税課税
- 103万円:本人の所得に対して所得税課税
- 106万円:社会保険加入(月間賃金や勤務先の規模など諸条件あり)
- 130万円:扶養から外れて国民年金・国民健康保険または社会保険へ加入
- 150万円:配偶者特別控除の額が段階的に縮小へ
- 201万円:配偶者特別控除がなくなる
2022年10月にはパートの社会保険の適用が拡大され、いわゆる「106万円の壁」の適用が広がっています。
該当する方は社会保険料や税金を払うために手取りが減るため、就業調整をおこなうパートタイマーが多いのでしょう。
「年収の壁」がなくなったらどうする?
現在「就業調整」をしていると回答した有配偶パート女性に、「『年収の壁』がなくなり、一定の年収額を超えて働いても手取りが減らなくなった場合、現在よりも年収が多くなるように働きたいか」と聞いた結果も見てみましょう。
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出所:株式会社野村総合研究所「有配偶パート女性の 6 割以上が 年収を一定額以下に抑える「就業調整」を実施」
「とてもそう思う」が36.8%、「まあそう思う」が42.1%となり、 8 割近くが年収の壁を超えても「働き損」にならないのであれば今より多く働きたいと考えています。
上記の中には、働き損にならないように働きたくても、育児や介護がありすぐには働く時間を増やせないという方もいるでしょう。
一方で、年収の壁がなくなり働き損にならなければ働きたい女性が8割と多くいることもわかりました。
まとめにかえて
年収の壁が作られた時代とは、所得などの経済状況や労働環境、家族のあり方なども大きく変化しています。
働かないほうが得になる制度があるために、働くことに対するモチベーションが下がってしまうことも考えられます。
共働き家庭が増えた今、時代の変化にあわせて働きたい意欲を持てる制度への変更が必要な時代に変わってきているでしょう。
参考資料
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」
- 株式会社野村総合研究所「有配偶パート女性の 6 割以上が 年収を一定額以下に抑える「就業調整」を実施」(2022年9月30日公表)
- 内閣府男女共同参画書「令和4年版男女共同参画白書」
宮野 茉莉子
