5. 注意点3:医療費の窓口負担割合がアップ
2022年10月1日から、75歳以上の方等で、一定以上の所得がある方は、医療費の窓口負担割合が変わります。
課税所得が28万円以上かつ「年金収入+その他の合計所得金額」が単身世帯の場合200万円以上、複数世帯の場合合計320万円以上の方は、窓口負担割合が2割となります。「年金収入」とは、公的年金控除等を差し引く前の、公的年金等の収入金額です。
Aさん夫妻の年金収入
Aさん:28万4000円×12ヶ月=340万8000円
Aさん妻:13万8000円×12ヶ月=165万6000円
Aさん夫妻の年金収入の合計は506万4000円。窓口負担割合は2割が適用となります。
6. まとめにかえて
今を生きる人は人生100年時代と言われています。終身年金であり、増加率が一生涯適用される繰下げ受給は、長い余生を過ごすには安心につながるでしょう。
ただし、長生きできれば良いですが、そうでなかった場合には少しでも年金を受け取っていたほうが良かったと思うかもしれません。寿命だけはコントロールができないため、制度を利用する際にはメリットとデメリットを知った上で判断しましょう。
Aさんもこれらの注意点を知っていれば、60歳から貯蓄を取り崩してしまうのではなく、繰下げ受給を始めるタイミングを見直したかもしれません。そうでなくても、知ったうえで受給開始すれば後悔はないでしょう。
制度を利用する際にはメリットばかりに目が行きがちですが、家族にとって納得したうえで一番良いと思える選択肢を見つけられると良いですね。
参考記事
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 厚生労働省「公的年金シミュレーター」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係 対象税目 所得税」
- 東京都後期高齢者医療広域連合「自己負担割合の見直し(2割負担)」
齋藤 英里奈