壁を意識して働くことの是非

これまで国民健康保険・国民年金に加入していた人は、会社の社会保険に加入することで保険料が会社と折半になります。さらに将来もらえる年金が増えたり、手当がもらえたりするので、プラス面しかないといえるでしょう。

しかし、配偶者の扶養に入っていた場合は、今まで納める必要のなかった保険料の支払いが発生し、手取りが減ってしまうマイナス面を強く感じると思います。

これは本来払うべき社会保険料の支払を免除されてきたことで現れたマイナス面といえます。もし、扶養内という枠組みがなかったら、今とは違う働き方をしていた女性は多いのではないでしょうか。

年収106万円で社会保険に加入し、手取りが減ったとがっかりしても、その後もずっと106万円で働き続ける理由はありません。

勤続年数が増えればそれに見合ったスキルを獲得し、賃金も上がっていくでしょう。壁を超えたことで、仕事をセーブする必要がなくなれば、これまでの補助的な仕事からやりがいのある仕事にステップアップできるかもしれません。

このようにして徐々に年収が上がっていけば、当初の手取り額の減少は忘れてしまうでしょう。報酬比例の厚生年金の額も増えていきます。

壁を意識することは一時的には得しているように見えても、長い目でみると損をしている可能性があります。それはお金の面だけでなく、本来の能力を活かしきれないことでの損失も含まれます。もちろん、少しだけ働きたいというニーズもあるので、それは否定しません。

制度に振り回されないその人にあった働き方ができるといいと思います。

参考資料

石倉 博子