それでも女性が産前のように働くのは難しい

数字で見れば難しくないとは言え、子どものいる女性が自身の思い描くキャリアの実現を目指したり、出産前と同様の条件で働いたりすることは容易ではないようです。

出典:厚生労働省「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える」

「令和2年版厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える」によると、2010~2014年の時点で出産退職している女性は3割以上います。

あわせて、厚生労働省が公表した「令和3年雇用動向調査結果の概況」における、女性の入職者に占めるパートタイム労働者の割合を参照してみましょう。

出典:厚生労働省「―令和3年雇用動向調査結果の概況―」

20~34歳以下の女性の入職者のうち3~4割がパート、35歳以上の女性については半数以上がパートとして入職しています。

ここで注目すべき点は、乳幼児を抱えている女性の割合が高い傾向にあろう34歳以下よりも、35歳以上の方がパートとして入職する女性の割合が高い点です。ある程度成長した子どもを抱えている傾向にある45~49歳の女性についても、約6割がパートとして入職しています。

上記の表に見られる傾向は、厚生労働省が公表する「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」にも表れています。

出典 :厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」

上記の表では、正規の職員・従業員として働く子どものいる女性は年々増加しているものの、末子の年齢が上がることに比例して、正規の職員・従業員として働く女性が増えているわけではありません。

むしろ、末子が4歳以上になると、正社員として働く女性の割合は減少傾向に。

その理由として、子育てと正社員との両立に困難を感じる女性や、年齢などを理由に正社員で働くことを諦めた女性が多いためだと考えられます。

また、子どもは成長につれ少しずつ親離れするものの、親にとっては習い事・部活動の送迎、お弁当作り、夕飯の支度、PTA活動などやらなければならないことは多く、パートを選ぶ方も多いのでしょう。