住民税非課税世帯は優遇されているのか

今回の非課税世帯への給付金を巡っては、さまざまな声があがっています。「税金を支払っている人にこそ助成を」という意見もありますね。

ただし、本来住民税非課税世帯への助成はひとり親や高齢単身者、失業者など「働きたくても働けない」家庭のセーフティーネットとなる公的支援です。

非課税であるからといって、教育や医療の格差が広がるのは避けるべきであり、必要な支援であるのが本質です。

もし正しい所得申告をせずに不正に非課税世帯となる方がいるとすれば、それが可能となる制度を正していくのが先決だと考えられます。

マイナンバーカードの普及などが、こうした不公平感を埋める一助となることが望まれますね。

本来の定義に則れば、住民税非課税世帯ということは所得が一定以下に該当することになります。こうした世帯を支援するために、日本にはさまざまな助成制度があります。

住民税非課税世帯が受けられる助成1. 幼児教育・保育の無償化

3歳~5歳児の幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料は、「幼児教育・保育の無償化」により原則無料となっています。しかし、0~2歳児は対象外のため有料です。

住民税非課税世帯の場合、この0~2歳児も無料となります。さらに給食費や副食費を無料化にしている自治体もあります。

住民税非課税世帯が受けられる助成2. 大学無償化(高等教育の修学支援新制度)

大学費用という、教育費の中でも最もお金がかかる費用の助成もあります。

住民税非課税世帯であれば大学無償化制度を利用できるため、大学や短大、専門学校などの授業料や入学金が免除もしくは減額され、学生生活費として日本学生支援機構(JASSO)から給付型奨学金を受け取ることもできます。

支援額の上限額(年額)

  • 「授業料等減免」…住民税非課税世帯なら、国公立大学で入学金約28万円、授業料約54万円。私立大学で入学金約26万円、授業料約70万円。
  •  「給付型奨学金の給付額」…住民税非課税世帯なら、「国公立大学・短期大学・専門学校」の自宅生で約35万円(月額2万9200円)、自宅外生で約80万円(月額6万67700円)。「私立大学・短期大学・専門学校」の自宅生は約46万円(月額3万8300円)、自宅外生は約91万円(月額7万5800円)。

経済格差が学力格差につながることを避けるため、低所得者がこうした制度を利用できれば、進学の希望を叶えることができるでしょう。