2022年4月に警察庁が公表した「令和3年における生活経済事犯の検挙状況等について」のデータが話題になっています。
その内容は、2020年度から2021年度にかけて投資関連詐欺に関する相談件数が一気に1.7倍に増えたというもの。さらに詐欺のターゲットが高齢者から20~40代の世代に移行していることが分かるデータも公表されました。
成人年齢が18歳に引き下げられた今、今後より多くの若者が投資詐欺に狙われることが考えられます。
LIFULL HOME’S不動産投資編集部でも、これまで投資詐欺に関するコラム記事を多く展開してきましたが、今一度改めて投資詐欺について理解を深めておきましょう。
今記事では、投資詐欺の多くの手口である「ポンジ・スキーム」について、そして投資詐欺の具体的な事例や相談窓口についてご紹介します。
すでに投資をしている人もこれから始めようと思っている人も、他人事と思わずにぜひ参考にしてください。
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1. 【2021年】警察庁の投資詐欺関連データを検証
まずは冒頭でも紹介した警察庁の投資詐欺関連最新データを分析してみましょう。
1.1 投資関連事犯の検挙状況は過去10年間で最大に……!
最初は警察庁がデータとしてまとめている「利殖勧誘事犯」の検挙事件数です。
「利殖勧誘事犯」とは、
- 未公開株
- 公社債
- 集団投資スキーム(ファンド)
- デリバティブ取引(商品先物、FX、暗号資産、バイナリーオプション、CO2排出権など事業投資)
- 勧誘時に元本保証をうたったその他の投資商品
などを指します。
つまり「利殖勧誘事犯」に関するデータを見ることで、投資関連詐欺の状況が見えてくるといえるでしょう。
2021年の投資詐欺関連の検挙事件数は46件、過去10年間で最も多い件数となりました。
1.2 投資関連検挙事件の内訳
次に、投資関連詐欺で検挙された事犯における投資商品の内訳を見てみましょう。
2020年から2021年にかけて、検挙人数・被害額ともに顕著に増えているのが「集団投資スキーム」です。
集団投資スキームとは、多くの投資家から集めた資金で事業や資産を運用し、持ち分に応じてその収益を出資者に分配する仕組みのこと。投資信託やファンドへの投資が該当します。
本来このスキームを使う運用事業者は金融商品取引業の登録が義務付けられていますが、詐欺を行う事業者の多くは登録を受けていない非正規の金融機関であるケースが多いです。
そして投資詐欺の多くが、この集団投資スキームを利用したものだと言われています。後ほど、このスキームを利用した投資詐欺の手口「ポンジ・スキーム」について解説しましょう。
1.3 2021年に急増! 投資関連事犯の相談件数
以下の表から明らかなように、投資詐欺に関する相談件数が2021年に急増しています。
投資詐欺に関する相談件数は、2020年から2021年にかけて一気に1.7倍に急増。検挙には至っていないものの、詐欺被害に遭った方や不安に思っている方が非常に多いことが分かります。
このように、ここ1~2年で急激に投資詐欺の相談件数が増えた背景には、コロナ禍での経済的不安や年金問題に対する人々の将来不安の増大が大きく関与しているのではないでしょうか。
「何かいい対策はないか……」と焦る人々の不安に付け込む詐欺事業者が増えていると予想されます。
1.4 ターゲットが若い世代に……投資関連事犯相談者の年代別構成比
2021年の投資詐欺相談件数の急増と並んで、もう1つ注目したいのが相談者の年齢層です。
この表から分かる通り、2017年頃の投資詐欺関連の相談者は約半数が高齢者でした。
しかしそれ以降、だんだん高齢者の比率が減り、20~40代の比率が増加。2021年には、20~40代が全体の半数以上を占めるまでに増加していることが分かります。
投資詐欺のターゲットが高齢者から若い世代に移っているということです。
年金不安などから、より将来に不安を抱えている世代、コロナ禍での雇用不安などをより強く抱えている世代が、まさにこの20~40代。2022年から成人年齢が引き下がったこともあり、今後ますます詐欺のターゲットが若年化するのではと危惧されます。
2. 投資詐欺の手口「ポンジ・スキーム」とは?
先述の通り、警察庁生活安全局「令和3年における生活経済事犯の検挙状況等について」のデータにおいて、投資詐欺関連の相談内訳で最も多かったのが「集団投資スキーム」。
この集団投資スキームを利用した形で詐欺を行う主な手口に「ポンジ・スキーム」が挙げられます。
実は投資詐欺の多くが、この「ポンジ・スキーム」だと言われていることをご存じですか?
「ポンジ・スキーム」とはどのようなものなのか、ぜひ理解しておきましょう。
2.1 「ポンジ・スキーム」とは?
「ポンジ・スキーム」とは「出資してくれたら配当金を支払う」といった口実で資金を集めるものの、実際に何か資産や事業に運用しているわけではなく、新しい出資者から得たお金を配当金として支払っているだけの詐欺的商法のことを指します。
つまり自転車操業のような状態であるため、いずれは破綻することが決まっているわけです。
しかし出資者としては、しばらくの間は約束通り配当金が支払われるため、詐欺だとは気づきません。いずれ配当金が支払われなくなり詐欺を疑う頃には、首謀者が雲隠れしていたり資産が隠蔽されていたりするため、検挙や被害額の回復が難しい状態になってしまうわけです。
これが「ポンジ・スキーム」のよくあるパターンといえるでしょう。
「ポンジ・スキーム」は暗号資産(仮想通貨)の取引で多く見られますが、物品やお金を対象とする取引もありますので注意が必要です。
2.2 「ポンジ・スキーム」でよくみられる特徴
誘われた投資話が以下のようなポイントに当てはまる場合は注意しましょう。
- 高配当、高利率をうたう
- 毎月の配当金を約束する
- 元本保証をうたう
- 高額な紹介料制度がある
現実離れした高利回りや「必ず配当金を出す」「元本を保証する」などのうまい話には注意しなければなりません。投資に「絶対」はないことをよく覚えておきましょう。
また「ポンジ・スキーム」には、他の人を勧誘することで高額な紹介料がもらえる制度があるケースが多いです。この制度にのって他者を勧誘してしまうと、自分も犯罪の片棒を担ぐことになりかねません。
これらの特徴が見られる投資に勧誘されているときは、一度立ち止まって疑うようにしましょう。
3. 投資詐欺に遭わないために! 具体的な詐欺事例を知ろう
まずは実際に起こっている投資詐欺の事例を知ることが大切です。そうすれば、いざ同じような内容の投資に誘われたときに「おかしいな……」と気づけるかもしれません。
ぜひこれらの記事を参考に、具体的にどのような投資詐欺が行われているのかを知りましょう。
- AI投資、新型マルチ商法、暗号資産……投資詐欺で狙われる若者 自分を守るために知っておきたい最新詐欺事情とは?【前半】
- AI投資、新型マルチ商法、暗号資産……投資詐欺で狙われる若者 自分を守るために知っておきたい最新詐欺事情とは?【後半】
- 【これで騙されない】不動産投資詐欺の悪質な手口5例!注意したい言動と困った時の相談先
4. もし投資詐欺に遭ってしまったら……
投資詐欺を働く事業者は人をだますプロです。気を付けていても引っかかってしまうかもしれません。
もし「投資詐欺に遭ったかもしれない……」と思ったときは、ぜひ以下の2つのポイントを意識できるようにしましょう。
4.1 相談はできるだけ早くが鉄則
詐欺相手を特定したり被害額回復のために口座を凍結したりするためには、とにかく被害に遭ったらすぐに相談することが重要です。
しかし実際に相談に至るまでの日数を見てみると、1~6ヶ月以上という人が多いことが分かります。
最近の投資詐欺に多いのがSNSやマッチングアプリを利用したもの。これらは特に、アカウントを消して連絡が取れない状態にすることが簡単なため、時間が経てば経つほど相手の特定が難しくなり、被害額の回復も困難になりやすいといえます。
「おかしいな」と思ったら、すぐに適切な窓口に相談するようにしましょう。
4.2 自分一人で抱え込まない・泣き寝入りしない
では、どうして相談に行くまでに時間がかかってしまったのでしょうか?
「自力で解決しようと考えていた」と答えた人が一定数いますが、正直投資詐欺を自分一人で解決することは難しいでしょう。
先述した通り、一人で抱え込んでいるうちに時間が経ってしまい、相手の特定が難しくなるケースも多いです。
また「どうせお金は戻ってこないし……」などと諦めてしまう人も多いのが投資詐欺の特徴です。たとえお金が返ってこなかったとしても、泣き寝入りせずにぜひ相談しましょう。
同じような被害に遭っている人が大勢いれば、国民生活センターや警察署などの公的機関が具体的に動き出すケースもあります。中には集団訴訟という方法を取ることができる事例もあるでしょう。
詐欺事例を明らかにすることで、今後同じような被害に遭う人を少しでも減らす効果も期待できます。
5. 投資詐欺に遭ってしまったとき、不安に思うときの相談先
先述した警察庁生活安全局「令和3年における生活経済事犯の検挙状況等について」の中で「警察に相談に行くまでに1ヶ月以上要した理由」の1つに「どこに相談したらよいのかわからなかった」という回答が見受けられました。
実はさまざまな公的機関が多くの相談窓口を用意していることをご存じでしょうか?
投資詐欺の相談窓口は以下の記事に詳しく解説されています。いざという時のためにぜひ把握しておきましょう。
6. 投資詐欺から自分を守れるのは「知識」と「情報」
投資詐欺に遭わないよう自分を守るためには「知識」と「情報」が最大の武器といえるでしょう。
投資詐欺にはどのような実例があるのか、どのような手口でだまされるのか、そういった知識を持っておくだけでも違います。
同じような手口で勧誘されたときに、その言葉をうのみにせず「もしかしてこれは……」と一旦立ち止まって考えられるかもしれません。
そしていつでも「自分で調べて自分で判断する」の原則を忘れないことです。投資商品や勧誘してきた事業者について、自分で徹底的に調べて判断するようにしましょう。
成人年齢が引き下げられたことにより、18歳でも自分の意思で契約ができるようになった若者は特に狙われやすいと考えられます。自分一人で判断せず、ぜひ分からないことは家族や公的機関に相談する習慣を持っておくとよいでしょう。
- シェアハウス、農場、暗号資産、AI投資……投資で「狙われる若者」にならないために知っておきたい投資の際の習慣3つ【前半】
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※この記事はLIFULL HOME'S 不動産投資コラムより提供を受けたものです。
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