4. 老齢年金以外のメリットも見逃せない

月額の上乗せ金額だけでは、もしかするとメリットを感じられなかった方もいるかもしれません。

しかし、社会保険に加入するメリットは「老齢年金の上乗せ」だけではありません。

最後にその他のメリットについても知っておきましょう。

4.1 健康保険上のメリット

これまで夫の健康保険上の扶養に入っていたパート主婦の場合、傷病手当金や出産手当金の対象外でした。仕事や出産を理由に仕事を休んだ場合、無収入になるということです。

もし自分で健康保険に加入すれば、これらの制度の対象となります。万が一のときにも手厚い保障となるため、心強いでしょう。

4.2 障害年金のメリット

一定の障害を負うと、障害年金が受給できます。国民年金加入者にも「障害基礎年金」がありますが、厚生年金に加入することで「障害厚生年金」を上乗せすることができます。

また障害等級3級以下でも対象となるなど、保障範囲も広がります。

4.3 遺族年金上のメリット

生計維持者が亡くなったとき、要件を満たした遺族は遺族年金が受給できます。しかし基礎年金だけの場合、対象は子のある妻など限定的です。

厚生年金があれば対象が広がり受給額も手厚くなるため、メリットが高いです。

5. 厚生年金の加入は総合的に判断を

今回の改正を受けて、扶養内に留まるために年収を低く抑えるパートの方が出てくるかもしれません。目先の手取りを考えると、保険料の負担はもったいなく感じてしまうものです。

お子さんが小さい方や健康上の理由がある方など、パートを選択するには個々の事情があるため、どのような選択であっても尊重されるべきでしょう。

ただし、社会保険に加入することのメリットを知らないまま「手取りが減るから」というだけで働き方をセーブするのは、人生においてもったいないかもしれません。

この機会に、人生におけるマネープランを徹底的に考えてみましょう。

参考資料

太田 彩子