70歳代は「老後2000万円問題」に関係あるのか

先程も触れた「老後2000万円問題」ですが、これは現在の70歳代にとっても必要となる目安なのでしょうか。

年金収入以外に必要とされる「2000万円」という数字の根拠について、金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回 厚生労働省提出資料)から見ていきましょう。

出所:金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」をもとにLIMO編集部作成

高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)

  • 実収入(主に年金):20万9198円
  • 実支出(主に食費):26万3718円

月々の赤字額=約5万5000円

老後必要額=5万5000円×12カ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円≒約2000万円

つまり、無職の夫婦が老後を30年生きるにあたり、年金だけでは2000万円が足りなくなるという試算なのです。

ただし、あくまでも収支は2017年の統計をもとに算出されたものです。一人暮らしの方や年金が少ない(多い)方など様々なので、実際に必要となる金額はもちろん個人で異なります。

老後2000万円問題は金融庁が老後資金に警鐘を鳴らすきっかけとなった試算なのであって、誰にでも2000万円があてはまるわけではないことに注意しましょう。

もう一つ重要なのが、今後の世代にとってはさらに厳しくなる可能性があるということです。平均的な生活をする今の70歳代夫婦であれば、2000万円というのは的を射た数字かもしれません。

しかし年金が減り、持ち家よりも賃貸暮らしが増えつつある現役世代にとって、老後資金は2000万円で足りるとは思えません。

老後資金については早くから意識するに越したことがないのです。