厚生労働省は2022年8月5日、年金特別会計の2021年度収支決算を発表しました。

これによると、会社員や公務員が加入する厚生年金は9兆8478億円の黒字、自営業者らが加入する国民年金は2303億円の黒字とのことです。

いずれも2年連続の黒字となりましたが、肝心の支給額は2年連続でマイナスが続いています。

意外に少ないと言われる老後の年金ですが、実際にはいくらぐらい受給されているのでしょうか。

特に受給額が少ない傾向にある「自営業者の年金対策」も合わせて考えていきます。

【注目記事】【厚生年金と国民年金】税金や保険料が天引きされると手取りはいくらになるのか

1. 年金制度は2階建てだが1階にしか加入できない人も

日本の年金制度は「2階建て」と言われています。国民年金と厚生年金が、図のように2階建ての構造をしているからこのように呼ばれるようになりました。

1/3

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成

1階部分の「国民年金」は原則、20歳以上60歳未満の方が加入します。

その上の「厚生年金」には、会社員や公務員などしか加入できません。そのため、自営業や専業主婦などは国民年金のみの加入となります。

今回は、そんな国民年金の受給額の平均や分布を確認しながら、対策についても見ていきましょう。

2. 「国民年金」の平均受給額は5万6252円

まずは厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金・国民年金事業の概況」より、国民年金の平均年金月額と分布を確認しましょう。

2/3

出所:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成

出所:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成

2.1 国民年金の平均月額

〈全体〉平均年金月額:5万6252円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4112円

平均は一部の大きな値に引っ張られている可能性もあるため、1万円ごとの分布も確認します。

2.2 国民年金月額階級別の老齢年金受給者数

  • 1万円未満:7万4554人
  • 1万円以上~2万円未満:29万3600人
  • 2万円以上~3万円未満:92万8755人
  • 3万円以上~4万円未満:284万2021人
  • 4万円以上~5万円未満:466万3638人
  • 5万円以上~6万円未満:776万979人
  • 6万円以上~7万円未満:1483万5773人
  • 7万円以上~:188万2274人

平均年金月額は5万6252円で、ボリュームゾーンは6万円台。そこまで大きな開きはなく、このあたりを目安と考えてよさそうです。

ちなみに、2022年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は6万4816円です。40年間未納なく納めた場合に満額受給となるため、国民年金だけで多くの収入を得るのは難しいことがわかりますね。

そのため、国民年金のみの方は早いうちから老後に向けて備える必要があります。

3. 「厚生年金」があれば手厚いのか

では、公務員や会社員が加入する厚生年金の場合、年金額は手厚いのでしょうか。同様に平均月額と分布を見ていきましょう。

3/3

出典:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成

出典:厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成

3.1 厚生年金(第1号)の平均月額

〈全体〉平均年金月額:14万4366円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万3808円

※国民年金の金額を含む

3.2 厚生年金月額階級別の老齢年金受給者数

  • 1万円未満:10万511人
  • 1万円以上~2万円未満:1万8955人
  • 2万円以上~3万円未満:6万6662人
  • 3万円以上~4万円未満:11万9711人
  • 4万円以上~5万円未満:12万5655人
  • 5万円以上~6万円未満:17万627人
  • 6万円以上~7万円未満:40万1175人
  • 7万円以上~8万円未満:69万4015人
  • 8万円以上~9万円未満:93万4792人
  • 9万円以上~10万円未満:112万5260人
  • 10万円以上~11万円未満:111万9158人
  • 11万円以上~12万円未満:101万8423人
  • 12万円以上~13万円未満:92万6094人
  • 13万円以上~14万円未満:89万7027人
  • 14万円以上~15万円未満:91万3347人
  • 15万円以上~16万円未満:94万5950人
  • 16万円以上~17万円未満:99万4107人
  • 17万円以上~18万円未満:102万4472人
  • 18万円以上~19万円未満:99万4193人
  • 19万円以上~20万円未満:91万6505人
  • 20万円以上~21万円未満:78万1979人
  • 21万円以上~22万円未満:60万7141人
  • 22万円以上~23万円未満:42万5171人
  • 23万円以上~24万円未満:28万9599人
  • 24万円以上~25万円未満:19万4014人
  • 25万円以上~26万円未満:12万3614人
  • 26万円以上~27万円未満:7万6292人
  • 27万円以上~28万円未満:4万5063人
  • 28万円以上~29万円未満:2万2949人
  • 29万円以上~30万円未満:1万951人
  • 30万円以上~:1万6721人

厚生年金の平均額は14万4366円です。国民年金に比べれば、プラス9万円ほどですね。

しかし厚生年金の場合、国民年金と違って個人差が大きいことがわかります。報酬に左右されるため、誰もが手厚い年金を受給できるわけではありません。

平均並みの14万円を受給できるとしても、この金額で老後生活を送れるかは印象が分かれるところではないでしょうか。

4. 「将来は国民年金だけ」の人が年金を増やす方法4選

老後生活の柱となる公的年金ですが、国民年金だけの場合は生活が厳しくなるかもしれません。今から年金を増やす方法を4つご紹介します。

4.1 年金を増やす方法1. 「国民年金基金」に加入する

自営業の方などは、国民年金基金に加入する方法があります。

「国民年金基金」では自分で決めた掛け金を納め、将来の年金額を増やせます。それだけでなく、掛け金は所得控除の対象になるので、今の税負担も軽減できるメリットがあります。

4.2 年金を増やす方法2. 「付加保険料」を納付する

国民年金のみの方は毎月支払っている年金保険料に加えて「付加保険料」(月額400円)を支払うことで、年金受給額を増やせます。

付加年金額(年額)については、「200円×付加保険料納付月数」で計算されます。つまり、2年以上受け取れば、支払った以上に年金が受け取れる計算になりますね。

ただし、国民年金基金との併用はできません。

4.3 年金を増やす方法3 .「繰下げ受給」をする

2022年4月より75歳まで繰下げ受給ができるようになりました。増額率は1カ月で0.7%。そのため、70歳まで繰り下げれば42%、75歳ま繰り下げれば84%も増やせます。

これは国民年金の方のみならず、厚生年金の方も検討できます。

ただし、年金の開始まで間があいてしまうため慎重に検討しましょう。

4.4 年金を増やす方法4. 私的年金で自分の年金をつくる

公的な年金だけでなく、個人年金保険やiDeCoなど自分で備える私的年金もあります。公的年金を軸として、その上に私的年金があると安心ですね。

上記と同じく、厚生年金の方も検討できる手段です。

個人年金保険であれば、生命保険料控除を使って現在の税負担を減らせますし、iDeCoにも拠出時や運用時、受け取り時に税制優遇があります。

年金を増やす方法はたくさんありますが、どれが合うかは個人によって異なります。年金アップではなく「貯蓄」が合っている方もいるでしょう。

現在や今後の働き方なども考えながら、将来に備える方法を探してみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子