ゴールデンウィークに入り就職活動も熱量を帯びてきたのではないでしょうか。様々なメディアで就職人気企業ランキングが発表されていますが、皆さんはどうお感じでしょうか。学生はさておき、社会人でも「なぜあの会社が上位なんだ」、「なぜうちがランキング入りしていないんだ」という方も多いでしょう。まあ、学生が選ぶのでは仕方がないなぁと納得される方もいるのではないかと思います。

今回はそうしたランキングの上位には名を連ねないけれども、国内よりも海外の方が知名度や存在感があったり、外国人投資家には人気のある優良企業をご紹介していきます。

ダイキン工業の時価総額はすでに日立製作所よりも大きい

ダイキン工業(6367)を知らない方は少ないと思いますが、ダイキンは国内だけでなく海外では有名な企業です。同社の決算書を見ると2016年3月期では、連結売上のうち国内の比率はわずかに26%で、それ以外は海外ということになります。実に80%弱が海外のビジネスから来ていることが分かります。

また、株式市場になじみのない方にはわかりにくいかもしれませんが、時価総額とはざっくりいうとその企業の利益規模や将来の利益成長性を掛け合わせたものです。したがって、時価総額が大きな企業というのは株式市場が今後期待している企業ともいえます。

その時価総額ですが、ダイキンは現時点(2017年5月2日現在)で日立製作所よりも大きく3兆1,500億円あります。日立製作所はというと約3兆円です。

理系の学生にとって日立製作所は人気企業であることは間違いありませんが、これまでの事業上の実績と株式市場の期待はダイキンの方が上ということになります。

「日立製作所もエアコンを作っているのに何が違うのか」という指摘もあろうかと思います。また同時に「ダイキンの何がすごいのか」という意見もあるでしょう。確かに日立製作所も東芝(6502)も三菱電機(6503)もエアコンを取り扱っている総合電機メーカーといえるかもしれません。

しかし、ダイキンはエアコン専業メーカーといってもよく、またエアコンに必要な冷媒の原料となるフッ素も取り扱っていることが他とは異なります。

また、ダイキンは中国や欧州、また企業買収などで米国にも積極的に進出するなど他の競合企業と比べると買いが展開に積極的という側面があります。

三菱鉛筆は全体の50%弱は既に海外売上

三菱鉛筆(7976)と聞くと社会人や大学生でも知らないという人は少ないのではないでしょうか。”uni”といったブランドで多くの日本人が知る文房具を製造し販売するメーカーです。

意外にも、三菱鉛筆は全体の売上高のうち半分近くが海外から来ています。日本でビジネスを中心に展開する企業と思っている方も多いかもしれませんが、売上高構成などをみると立派なグローバル企業です。

同社の業績もしっかりしたものがあります。たとえば、過去30年の業績を振り返ってみると、驚くべきことに当期純損失を計上している年がありません。もちろん、業績の変動はありますが、着実に株主資本を積み上げてきた企業ということができます。

就活人気ランキングで上位に入るような、銀行、電機、自動車セクターの企業は景気がスローダウンした際や為替レートが大きく変動する場合、またリーマンショックのようなパニック的な状況では大企業といえども赤字を計上することも多く、株主資本を継続的に積み上げることができていないことも多いのが実際です。

三菱鉛筆と同様にパイロットコーポレーション(7846)もグローバルで事業を展開する文房具メーカーです。私たちの身近な商品を提供する企業も世界で活躍する良い企業がたくさんあります。ランキングにこだわる必要はないということが良くわかります。

参考:「意外? 日本の文房具メーカーはグローバル競争の勝ち組」-投信1

就活でSMCを知っている学生は多くないのでは