独DAX指数が最高値を更新した1週間
先週(2017年4月24日-4月28日)の世界の株式市場はほぼ全面高になりました。主要市場の週間騰落率は、現地通貨ベースで独DAXが+3.2%、TOPIXが+2.9%、米S&P500が+1.5%、上海総合が▲0.6%でした。
フランス大統領選の第一回投票の結果がマクロン氏の勝利となりルペン氏が第二回投票で勝ち進む可能性が低下したと認識されています。この結果、極東の地政学的緊張は融けないものの、いわゆるリスクオン相場が戻り、金価格が下げ、債券から株式へと資金がシフトしたと思われます。
とくに先週の動きのなかで注目したいのは、ユーロが対ドルに対して+1.7%上昇し2016年11月の水準まで一気に戻ったこと、そして米国のナスダック総合指数とドイツのDAX指数がともに最高値を更新したことです。
欧州景気は物価上昇を心配する段階ではないものの緩やかな回復基調にあります。欧州中央銀行は先週金融政策を据え置きましたが、大局的には金融緩和の強化ではなく金融緩和の出口を探る方向にあるというのが市場の認識だと思われます。そうした環境のもとで、先週のユーロ急騰とDAX指数の最高値更新は、単に仏大統領選に関するリスクオフが解除されただけとは片付けられない勢いを感じます。
一方、期待された米国の税制改革は骨子の提示にとどまりました。歳入全体のゆくえが現時点では不明確であるため、材料としては消化されなかったと思われます。さらに1-3月の米国のGDP統計などが、経済成長率の鈍化と物価上昇圧力の高まりを示すこととなり、米国のマクロ見通しを難しくさせたと思います。
そうしたなかで米国を中心に決算発表が進みました。アルファベット(GOOG)、アマゾン(AMZN)、フェイスブック(FB)、マイクロソフト(MSFT)、ネットフリックス(NFLX)、アジアではサムスン電子が大きく上昇しており、テクノロジー関連株への根強い期待が伺われます。キャタピラー(CAT)も急騰し、グローバル景気の回復期待も醸成されつつあるようです。
日本では日銀の金融政策が据え置かれました。黒田バズーカはありませんでしたが、TOPIXは上昇し年初来のパフォーマンスがようやくプラスに転じました。
アウトルック:米企業決算は峠越え。欧米景気と金融政策がカギ
今週(2017年5月1日-5月5日)は、米国の決算が峠を越えるなかでマクロ指標に注目が集まると考えます。
欧州では1-3月のGDP速報値が、米国では週末に4月の雇用統計が控えます。また米国の連邦公開市場委員会(FOMC)も開催されます。さらにイエレンFRB議長、ドラギ欧州中央銀行総裁ともに発言機会もあります。両者とも従来の金融スタンスがすぐに変わるとは思いませんが、チェックは必要だと思います。
決算の面ではアップル(AAPL)、フェイスブック(FB)、テスラ(TLSA)の決算が注目されそうです。これらの銘柄の株価がしっかりすれば、ナスダックと欧州株を中心とした株高シナリオが続くと展望できるそうです。
椎名 則夫