厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和2年度)」によると、厚生年金受給者の平均年金月額は14万4366円です。
実際には、年金から社会保険料や税金が天引きされた後の金額で生活することになります。
今回はおひとりさまの老後に視点をあてて、平均的な受給額といえる厚生年金15万円を受給している一人暮らしの人の生活を、家計調査のデータをもとにイメージします。
ひとりの老後に想定したい出費5つも見ていきましょう。
「厚生年金15万円」を手取りにするといくら?【社会保険料編】
意外と見落としがちですが、年金収入からも税金と社会保険料が引かれます。
厚生年金を月額15万円受給できる人の「社会保険料、所得税、住民税」を計算して手取り額を出してみましょう。
【条件】
70歳、東京都八王子市在住、一人暮らし、厚生年金を月額15万円受給(年間180万円)、この他に収入はない、社会保険料控除・基礎控除以外の所得控除は考慮しない
まずは社会保険料を計算します。
老後に支払う社会保険料は「公的医療保険」と「介護保険」の二つです。公的医療保険は75歳未満の人が加入する「国民健康保険」と75歳以上の人が加入する「後期高齢者医療保険」にわかれます。
【国民健康保険料】
東京都八王子市(令和4年度)の保険料は以下の式で求めます。
「医療給付費分」+「後期高齢者支援金分」+「介護納付金分」=国民健康保険料
(参考:八王子市公式ホームページ「年間保険税の決め方(令和4年度(2022年度)」)
<医療給付費分>
- 所得割額
180万円(公的年金収入)-110万円(公的年金等控除額)=70万円(総所得金額等)
(70万円-43万円)×6.7%=1万8090円
- 均等割額
1人×3万8700円=3万8700円
参考:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
均等割額には軽減措置があり、このケースでは5割軽減に当てはまるため、1万9350円となります。
(参考:八王子市公式ホームページ「軽減措置」)
1万8090円+1万9350円=3万7440円
<後期高齢者支援金分>
- 所得割額
(前年の総所得金額等※70万円-基礎控除43万円)×2.2%=5940円
※前年の総所得金額等=公的年金収入-公的年金等控除額
- 均等割額
1人×1万3300円=1万3300円
均等割額には軽減措置があり、このケースでは5割軽減に当てはまるため、6650円となります。
5940円+6650円=1万2590円
<介護納付金分>
40歳から64歳までの介護保険2号該当者が対象となるため、該当しません。
「医療給付費分」+「後期高齢者支援金分」+「介護納付金分」=国民健康保険料
3万7440円(医療給付費分)+1万2590円(後期高齢者支援金分)+0円(介護納付金分)=5万30円(国民健康保険料)
国民健康保険料は「年額5万30円」となりました。月額にすると「4169円」です。
【介護保険料】
介護保険料は市区町村ごとに定めた所得段階に応じて保険料が決められています。
東京都八王子市の場合、16段階に分かれています。
(参考:八王子市公式ホームページ「令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)の介護保険料(所得段階)」)
条件から第6段階にあてはまるため、年額7万9400円となります。月額にすると6617円です。
社会保険料は合計で12万9430円(年額)となりました。