2. 老後に向けて年金の受給額を増やすコツ3選

老後生活費の軸になる年金ですが、実は受給額を増やすことができることをご存知でしょうか。

ここからは、年金受給額をアップさせる方法を紹介します。

2.1 老後に向けて年金の受給額を増やすコツ1.受け取りの開始を遅らせる

まずは「受け取り開始時期を遅らせること」です。

国民年金や厚生年金といった公的年金は、原則65歳からの受け取り開始となっています。繰下げ受給を利用して受け取り開始の時期を遅らせることで、受給額を増やすことができます。

では、繰下げ受給をすることで、どれくらい受給額をアップさせることができるのでしょうか。

繰下げ受給は1カ月単位で行うことができ、1カ月遅らせるごとに0.7%ずつ増額されます。1年遅らせるごとに増額率は以下のようになっていきます。

出典:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

  • 66歳0ヵ月:8.4%
  • 67歳0ヵ月:16.8%
  • 68歳0ヵ月:25.2%
  • 69歳0ヵ月:33.6%
  • 70歳0ヵ月:42.0%
  • 71歳0ヵ月:50.4%
  • 72歳0ヵ月:58.8%
  • 73歳0ヵ月:67.2%
  • 74歳0ヵ月:75.6%
  • 75歳0ヵ月:84.0%

受け取り開始を10年遅らせて75歳からにした場合、実に84%も受給額を増やすことができます。仮に年金受取が月10万円だった場合、18万4000円にアップすることになります。

「受給額」だけを見ると、非常にインパクトのある数字になっています。

細かいシミュレーションは割愛しますが、

  • 80歳まで生きた場合:65歳受給開始が最も多く受け取れる
  • 85歳まで生きた場合:70歳受給開始が最も多く受け取れる
  • 95歳以上生きた場合:75歳受給開始が最も多く受け取れる

このような結果となります。

平均寿命の問題もありますが、何歳まで生きるのかは誰にも予測ができません。一つの参考として知っておくと良いでしょう。

また一度遅らせると取り消すことはできないので、慎重に決めましょう。

2.2 老後に向けて年金の受給額を増やすコツ2.国民年金の任意加入

国民年金は20歳以上のすべての国民に納める義務があります。

ただし、20歳以降で学生だった期間などは、国民年金保険料を納付していなかった方もいるでしょう。

20歳以降の学生の期間中に「学生納付特例制度」を利用して保険料の免除を受けた方は、その期間の国民年金保険料を60歳以降に支払うことで、年金額をアップさせることができます。

ちなみに大学卒業後などの10年以内に追納した人は対象外なのでご注意ください。

2.3 老後に向けて年金の受給額を増やすコツ3.国民年金基金、もしくは付加年金の加入

自営業やフリーランスの方などに限られますが、国民年金基金や付加年金も活用したいポイントです。

自営業やフリーランスの方は、会社員や公務員と比較すると、厚生年金の分だけ将来の年金受給額がどうしても少なくなってしまいます。

その差を埋めるという目的で活用する方も多くおられます。

  • 国民年金基金:国民年金第1号被保険者が国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度
  • 付加年金:国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者が国民年金の定額保険料に上乗せして納めるのが付加保険料です。月額400円です。

ただし両者は併用できないので注意しましょう。