親の関り方は学力にも影響する

塾にやってくるのは、教育熱の高い家庭の子だけでなく中学進学後の定期テストの結果をみて親が慌てて入塾の申し込みをしてきた子など、三者三様の理由です。

基本的に、塾代を出せるだけの経済力があるわけですが、親の年収以上に学力への影響が大きいと筆者が感じたのは、親子関係です。

文部科学省が2019年12月に開いた教育課程部会で配布された資料「家庭の社会経済的背景(SES)が困難な児童生徒への支援について」では、2013年度と2017年度の「全国学力・学習状況調査と保護者調査の結果」を基に、経済力ではなく保護者の意識や関与と学力の関係を指摘しています。

図 保護者の関与と学力の関連の例 <小学校・国語A>

出所:文部科学省「家庭の社会経済的背景(SES)が困難な児童生徒への支援について」

読書習慣や親子のコミュニケーションの濃さが、学力向上に繋がっているとしています。筆者もこの点に関しては塾での仕事を通じて同意する点があります。

また、経済的に非常に恵まれている生徒の中にも学業不振の子がいましたが、そうした子達は親子のコミュニケーションが不足気味という共通点がありました。

親側は「お金は払うから後はよろしくお願いします」というスタンスで、子どもと関わり合うことも向き合おうとする気持ちもほとんど感じられず、驚いた事がありました。

裕福で普通の家庭からすると羨ましい程の教育費を出せても、親子関係が不安定で冷めていると学力向上に繋がることはなく、むしろ悪い方に出ることがほとんどです。