いま64歳の方は、もうすぐ「年金請求書」という書類が日本年金機構から送られてきます(特別支給の年金の受給権のある方は、65歳より前に送られます)。この書類が届いたら、何をどうするべきなのでしょうか。
実は年金は申請制なので、ここから手続きをしない限り受給することができません。定年退職後の生活を支えてくれる大切な「年金」なので、漏れがないようにしっかり予習をしておきましょう。
添付書類や提出方法、書類を紛失した場合の対処法までまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
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1. 64歳の人もおさらい!年金制度の基本知識
日本の年金制度は、国民年金と厚生年金の「2階建て構造」となっています。
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出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
1階部分にあたるのが、日本に住む20歳以上60歳未満の全員に加入義務がある「国民年金」です。年金制度のベースとなる部分で、「基礎年金」とも呼ばれます。
保険料は一律なので、個人の年収により受給額が変わることはありません。ただし未納や免除の期間があれば、その分が満額より差し引かれるしくみとなります。
一方、2階部分にあたるのが厚生年金で、公務員や会社員などが国民年金の上乗せで加入しています。
こちらは報酬比例制なので、保険料は個人によって異なります。納めた保険料や加入期間で受給額が決まるという構造上、年金額は個人によってかなり異なります。
1.1 年金の支給開始年齢は原則65歳から
国民年金も厚生年金も、受給開始の年齢は「原則」65歳からです。そのため、60~65歳は無収入になることもあります。特に60歳で定年退職を迎える企業に勤めている方などは、次の項目を参考にしてみてください。
2. 60歳~65歳までは無収入になることも
60歳で定年退職を迎える企業だと、65歳の年金受給までは無収入になる可能性が出てしまいます。
2.1 年金の待機期間
年金保険料の納付を終える60歳から、実際に年金支給がスタートする65歳までの間(特別支給の老齢厚生年金対象者は、該当する年齢に達するまで)を「待機期間」といいます。
この待機期間が長いほど、経済的不安は大きくなるものです。多くの場合、再雇用やアルバイト等で、年金開始までの生活費を稼ぐことになります。
2.2 特別支給の老齢厚生年金とは?
過去には国民年金の支給開始が65歳、厚生年金の支給開始年齢が60歳という時期もありました。しかし厚生年金の受給開始年齢は段階的に引き上げられ、現在では国民年金と同様、65歳からの受給となっています。
こちらの経過措置として、以下の条件を満たす方は65歳まで「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができます。
1. 以下の日以前に生まれている
- 男性…1961年4月1日
- 女性…1966年4月1日
2. 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
3. 厚生年金保険等に1年以上加入していた
4. 60歳以上である
※実際の支給開始年齢は生年月日によって変わります。
2.3 年金の繰り上げ受給とは?
一方で、自分の希望により国民年金や厚生年金を65歳より前に受給することもできます。これを年金の繰上げ受給といいます。
最大60歳まで繰り上げることが可能ですが、その分1カ月繰り上げるごとに0.4%年金額が減額されます。つまり60歳まで繰り上げれば、年金は24%も減額されることに。
さらに65歳になっても本来の受給額に戻ることはなく、減額率は一生涯続くことに注意が必要です。再雇用や貯蓄の切り崩しでつなげるのか、それとも繰上げ受給をするのか。
どちらもメリットデメリットをしっかり考慮して、選択することが大切です。
3. いま64歳の方がすべき「年金を受け取るための手続き」とは
特別支給の老齢厚生年金や、本来支給の老齢年金を受給するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。一つずつ順番に見ていきましょう。
3.1 年金請求書が郵送される
年金の受給権が発生する3カ月前になると、日本年金機構から「年金請求書」が郵送されてきます。届いた書類には過去の加入実績や受給権が発生した人の基礎年金番号、氏名、住所などが印字されているので、内容に誤りがないか必ずチェックしましょう。
もし記載事項に誤りがあると、正しい年金が受けられません。速やかに最寄りの年金事務所に相談しましょう。
3.2 年金請求書を提出する
記載内容に誤りがなければ、この年金請求書に必要事項を記入して提出します。
ただし、年金請求書が提出できるようになるのは「年金の受給権が発生してから(誕生日の前日以降)」です。
それまでは提出できないため、忘れないように注意しましょう。
届いてすぐに提出するわけではないので、保管期間中に失念しないようリマインドすることが大切です。
3.3 年金が支給開始!
年金請求書を提出したあとに年金証書と年金決定通知書が届き、その約50日後から年金の支給が開始されます。
ちなみに年金は前月までの2ヵ月分が偶数月に振り込まれます。毎月の振込ではないので、収入分を使いすぎないようコントロールすることが大切です。
4. 年金請求書の疑問を解決!
「年金請求書」関してよくあがる疑問をご紹介します。
4.1 Q. 年金請求書が届きません。どうしたらいいですか?
A. 最寄りの年金事務所に相談しましょう。
65歳の3ヵ月前になっても年金請求書が届かない場合、日本年金機構に登録された住所と現住所が違うなど、登録事項でトラブルが発生している可能性もあります。
4.2 Q. すでに 「特別支給の老齢厚生年金」をもらっています。65歳では手続き不要ですか?
A. 手続きは必要です。
60~64歳の方で「特別支給の老齢厚生年金」をもらっていても、65歳になるときには改めて「年金請求書」を提出する必要があります。「自分はもう年金を受給しているから」と書類を放置してしまうと、年金の支払いがストップしてしまうことに。必ず提出しましょう。
4.3 Q. 年金請求書の書き方がわかりません
A. 日本年金機構の「老齢年金請求書の記入方法等」が参考になります。
詳しい動画解説もあるので、わからない場合は参考にしてみましょう。ただし、受け取れる年金は個別で異なるので、難しく感じるものです。無理をせず、最寄りの年金事務所に相談することも可能です。
4.4 Q. 年金請求書を紛失しました。どうすればいいですか?
A. 再度用紙を取り寄せることができます。
書き損じてしまった場合や書類を紛失した場合などは、再度送付してもらうことができます。または日本年金機構のホームページから用紙をダウンロードすることもできます。
4.5 Q. 年金請求書はどこに提出すればいいですか?
A. 「年金事務所へ郵送」もしくは「年金事務所の窓口」にて提出できます。ただし下記にあてはまる場合は、窓口への来所が必要です。
- 年金加入記録に空白期間や記載誤りがある
- 遺族年金や障害年金など他の年金を受給している
- 受給開始時期の繰下げにより、年金額の増額を検討している
- 請求手続き時に年金の見込額の交付を希望している
4.6 Q. 年金請求書はいつまでに提出しないといけませんか?
A. 下記の提出期限を守って提出しましょう。
〈老齢年金の請求が初回の場合〉
- 年金請求書が届く時期…受給開始年齢に到達する3ヵ月前
- 年金請求書の提出期限…誕生月の末日(1日生まれの場合は前月末日)まで
〈「特別支給の老齢厚生年金」受給中の場合〉
- 年金請求書が届く時期…65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの場合は前月の初旬)
- 年金請求書の提出期限…誕生月の末日(1日生まれの場合は前月末日)まで
5. 年金請求の前に予習を!
64歳の方は、いよいよ年金生活のデビューが近づいてきました。
年金生活に向けてしっかり手続きの準備をしておきましょう。またこれまでとお金の流れが変わるので、資産を守る工夫も必要になってきます。
支出の見直しを行い、赤字にならない家計を目指しましょう。
参考資料
- 日本年金機構「特別支給の老齢厚生年金を受給するときの手続き」
- 日本年金機構「これから老齢年金を受給する方へ」
- 日本年金機構「老齢年金請求書の記入方法等」
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
太田 彩子
