1. ライフプランを立てる

まずは基本的なことから。老後の生活をどうしたいのか、そのためにはいくら必要なのか、そこを具体的な数字で見つめなおすことが大事です。ゴールがわからなければ、どの道を行けばいいかわからないですよね。まずはゴールを探すことから始めましょう。

老後はできるだけ子どもに迷惑を掛けたくないと思っている人も多いと思います。それならそれで構いません。子どもに迷惑を掛けないように、今から老後の資金を準備すればいいだけです。逆に、子どもに頼ればいいやと思っている人は注意が必要です。

というのも、いつ何時、子どもが病気やけが、事故などに見舞われるかもわかりません。また、OECDの調査結果では、日本の15~29歳の若者のうち、仕事や就学をせず職業訓練も受けていない、いわゆる「ニート」と呼ばれる人が2015年には10.1%(約170万人)もいるとされています(注1)

我が家に限って、と思う方もいるかもしれませんが、子どもに頼って老後の生活を成り立たせようとするのにも一種のリスクが伴うといえます。万が一の共倒れを避けるためにも、自分たちだけで生活していけるだけの資金を用意しておかなければなりません。

ライフプランを立てるうえで重要なのが、仕事から引退する年齢と住宅ローンやマイカーローンなどの借入金についてです。今は65歳以降になっても元気に働ける人も多く、厚生労働省が発表している平成25年時点のデータによると、男性の場合は71.19歳、女性の場合は74.21歳が健康寿命となっています(注2)

65歳で仕事を完全にやめてしまうよりも、少しでもいいので働いて収入を増やしておいたほうが後のためです。65歳以降も働いた収入だけで生活できるのならば、年金も「繰り下げ受給」ができます。繰り下げ受給すると、最大で42.0%の増額(請求時の年齢が70歳0カ月~の場合)となります。逆に、65歳よりも早く年金をもらうと通常もらえるはずの年金の額よりも減額されてしまい、その金額が一生続くのです。それであれば、働けるうちは働いて、年金は少しでも多く受け取れるように検討してみるのもひとつです。

また、住宅ローンやマイカーローンなどの借入金は65歳以降に持ち越さないように注意してください。65歳以降も仕事を続けられた場合でも、契約社員になったり収入が現役時代より下がることも多いです。収入が減るタイミングでローンを抱えていると、それまで以上に生活の負担が大きくなるため、ローンを組むときには65歳までに完済するように返済プランを組むようにしましょう。

(注1)OECDプレスリリース「日本は、若者が労働市場に参加できるよう支援を強化すべき」(2017年5月29日)

(注2)厚生労働省ホームページ「健康寿命の延伸と健康格差の縮小の実現に関する目標」