先日6月15日は年金の支給日でした。年金は前月2カ月分を15日に受け取るため、今回の支給は4月~5月分。つまり、2022年度分の初回の振込だったのです。

2022年度は年金が0.4%引き下げになりましたが、こうしたニュースに触れる度「年金ってみんないくら受給しているんだろう」と疑問に思う方も多いでしょう。

そこで今回は、比較的「年金だけで生活できている」と言われる世代である80歳~90歳以上にフォーカスをあて、その年金受給額を1歳刻みで確認します。

生活費とも比較しながら、暮らしぶりをさぐりましょう。

【注目記事】60~69歳は厚生年金と国民年金をいくら受給しているか。平均貯蓄額も考察

1. 「80~90歳以上」年金受給額を1歳刻みで確認

年金には厚生年金と国民年金(基礎年金)があります。厚生労働省「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、それぞれの年金受給額の月額平均を1歳刻みで確認します。

1.1 厚生年金(第1号)の平均年金月額

  • 80歳:15万7097円
  • 81歳:15万8604円
  • 82歳:16万356円
  • 83歳:16万851円
  • 84歳:16万1719円
  • 85歳:16万2711円
  • 86歳:16万2887円
  • 87歳:16万1929円
  • 88歳:16万2660円
  • 89歳:16万3514円
  • 90歳以上:16万1506円

※国民年金(基礎年金)の月額を含みます。

1.2 国民年金の平均年金月額

  • 80歳:5万7241円
  • 81歳:5万7024円
  • 82歳:5万6866円
  • 83歳:5万6876円
  • 84歳:5万6464円
  • 85歳:5万6321円
  • 86歳:5万6067円
  • 87歳:5万5643円
  • 88歳:5万5132円
  • 89歳:5万4498円
  • 90歳以上:5万554円

国民年金はあまり差がありませんが、厚生年金は年齢があがるほど若干受給額も高まります。全世代における厚生年金受給額の平均は約14万円なので、上の世代ほど多くの年金を受給していることがわかります。

2. 80歳以上の生活費はいくらかかるのか

ここからは総務省の「家計調査報告(家計収支編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」から、80歳以上無職世帯の生活費を確認します。

調査にあわせて「80歳~84歳」「85歳~」に分けてご紹介します。

2.1 80歳~84歳の支出額

  • 食料:6万3748円
  • 住居:1万5828円
  • 光熱・水道:2万140円
  • 家具・家事用品:9359円
  • 被服及び履物:4311円
  • 保健医療:1万5681円
  • 交通・通信:2万1509円
  • 教育:283円
  • 教養娯楽:1万6490円
  • その他の消費支出:3万9928円

合計支出額:20万7277円

2.2 85歳以上の支出額

  • 食料:6万2383円
  • 住居:1万8398円
  • 光熱・水道:2万249円
  • 家具・家事用品:8974円
  • 被服及び履物:4285円
  • 保健医療:1万5667円
  • 交通・通信:1万5088円
  • 教育:199円
  • 教養娯楽:1万4968円
  • その他の消費支出:3万5210円

合計支出額:19万5420円

合計支出額を見ると、「なんとか年金だけでやりくりできそう」と感じるかもしれません。しかし、「住居費」がどちらも1万円台になっている点に注意しましょう。

調査には持ち家の世帯も含まれるため、0円という回答に引っ張られた結果だと考えられます。老後も賃貸住まいを続ける方は、こちらに家賃分を上乗せして考える必要があるでしょう。

また「介護費用」が加わると、生活費は一気に上がることが予想されます。施設に入居したいかでも変わるので、こうした要素から個別に生活費は変わってくるでしょう。

3. 「経済的に心配していない」80歳以上は67.4%

内閣府が「令和3年版高齢社会白書(全体版)」で60歳以上の者の暮らし向きについて調査した結果では、80歳以上で「困っていない」「あまり困っていない」の合計は67.4%でした。

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出所:内閣府「令和3年版高齢社会白書(全体版)」

3.1 年代別・「困っている」「少し困っている」の合計額

  • 60~64歳:32.9%
  • 65~69歳:32.1%
  • 70~74歳:39.0%
  • 75~79歳:33.3%
  • 80歳以上:29.6%

こうして眺めると、若い年代ほど経済的に困る割合が増えることがわかります。一昔前は「定年退職後はのんびりセカンドライフを送る」のが当たり前の時代でしたが、今は働き続けるシニアも多いです。

賃金が上がらない中物価が上昇し、経済的に苦しい思いをしているのは60歳以上でも変わらないのかもしれません。

今後は年金の額もますます減少することが考えられます。晩婚・晩産が進めば、高齢になってから孫の面倒を見るケースも増えるでしょう。

こうしたことを考慮して、老後の資金は慎重に準備する必要がありそうです。

4. 80歳以上のお金事情からわかること

ここまで80歳以上の年金受給額や生活費をまとめていきました。

誰もが平均通りの生活をするわけではないものの、実際「生活に困る」と答えた80代は他の年代より少ない傾向にあります。

「年金だけで生活できる」という時代は確かにありましたが、今後期待するのは難しいでしょう。

年金受給額が今後減っていくことを考え、自分で老後資金を備える必要があります。

老後資金はしばらく使わないお金になるので、銀行預金だけでなく資産運用に回すというのも一つでしょう。

昨今の物価上昇は財布へのダメージも大きいものですが、このままインフレが起きれば「手元にある1000万円が数十年後には600万円の価値に下がる」ということもありうるのです。

こうしたリスクを避けるためには、預貯金だけでなく保険や資産運用にバランスよく振り分けることが重要になるでしょう。

ただし、資産運用にもリスクはあります。最近では国が勧める「iDeCo」や「つみたてNISA」などが人気ですが、流行っているからという理由でリスクの知識なしに始めるのはおすすめできません。

制度の特徴やメリット、さらにはデメリットもしっかり把握できるように、まずは情報収集から始めてみましょう。

参考資料