3.日本の引退年齢は高い

OECDによる“Pensions at a Glance”では、加盟国それぞれについて、平均実効引退年齢 と年金の法定支給開始年齢 、標準的な 労働者の年金の所得代替率を示している。ここではそのうちいくつかの国について下記の図表1,2に示します。

平均実効引退年齢:40歳以上の労働者が5年間に非労働力化した平均的な年齢。
所得代替率:税・社会保険料控除後の純所得代替率。

法定支給開始年齢はOECD平均で64.2歳と、いずれも65歳前後となっており、日本と大きな差はありません。

しかし、平均実効引退年齢をみると、日本は男性68.2歳[女性66.7歳]と、OECD平均を5歳程度上回り、高齢まで働いてい
ることがわかります。引退年齢と年金支給開始年齢の関係をみると、欧州では、引退年齢は年金支給開始年齢よりも低く、年金支給開始前に引退する傾向があります。一方で、日本や韓国は年金支給開始年齢よりも高く、年金が支給されるような年になっても働き続ける傾向が読み取れます 。

国によって定年の考え方や年金政策、財源等が異なるので、ここでは各国の年齢の比較にとどめますが、欧州は年金(強制加入+任意加入)による所得代替率が高いといえます。それに対し、日本は年金の強制加入年金による所得代替率が低いことから、年金支給開始後も就労収入に頼るしかなく、引退年齢が押し上げられていると考えられます。