3. 個人年金保険には注意点もある

ただし、個人年金保険には注意したい点もあります。老後資金の他の備え方に比べた「デメリット」に着目しましょう。

3.1 資産運用に比べてリターンが望めない

一昔前は個人年金保険の返戻率も高く、支払った保険料を上回る年金を受け取れることが一般的でした。「お宝保険」という呼び名を聞いたことがあるかもしれません。

しかし昨今の低金利の情勢では利率が低く、その魅力が薄れたと言われて久しいです。長期間積み立てているにも関わらず、払った金額より増えることはあまりありません。

資産運用では複利の効果で増やせる可能性がありますが、それに比べるとデメリットに感じる人もいます。

3.2 資産運用に比べてインフレに弱い

またインフレが起こって物価があがったとしても、個人年金保険で受け取れる金額は決まっています。確実にその年金額が受け取れるのはメリットである一方、インフレに弱いのは事実でしょう。

インフレに対応するには、少数ですが利率変動型のタイプを選ぶか、変額個人年金保険を選ぶのが有効です。

しかし運用成果によっては元本割れするリスクが避けられないため、慎重に選ぶ必要があります。

3.3 預貯金に比べて流動性がない

預貯金で備えている人は、万が一のことが起こったとき、そちらに資金を流用することができます。しかし個人年金保険は一定の年齢になってから受け取れるという性質上、流動性はありません。

もし中途解約してしまうと元本割れを起こすため、最後まで継続して支払えることが条件になるでしょう。

3.4 長生きできないと損をするかも

もし早くに亡くなった場合、受け取る年金は支払った保険料を下回ることになります。特に終身年金や有期年金などでは、その可能性が高まるでしょう。

終身年金は「生きている限り年金が受け取れる」ため長生きリスクには強いメリットがありますが、寿命は誰にもわかりません。

こうした可能性も選択肢に入れた上で、検討する必要があるのです。

ただし保険はリスクに備えるためのものなので、「元を取る」「損をする」という考え方は本来できません。

自動車保険は「事故にあわなかったから損」、定期の死亡保険は「死亡しなかったから損」という考え方に違和感を覚えるのではないでしょうか。

同様に、個人年金保険も「保険」である性質上、元を取れるかどうかだけで選ぶのはおすすめできません。