将来のお金に対して不安を抱える方は多いです。
一方で、「どれだけお金を貯めても使わなかったら意味がない。相続させるより自分で使い切りたい」と考える方がいるのも事実です。
確かにお金を貯めても、十分に楽しめず残ってしまうのは避けたいですよね。
「老後のお金は貯めたい、でも使わずに終わるのもいや。」こう考えるとき、どのような対策をすればいいのでしょうか。
もしかすると「個人年金保険」が役に立つかもしれません。個人年金保険のしくみや使い方を解説します。
【注目記事】こんなに天引きされる?厚生年金と国民年金の実態。手取りと額面の違いを解説
1. 個人年金保険とは
個人年金保険とは、民間の生命保険会社などが販売する私的年金です。
毎月保険料を支払うことで、60歳や65歳など決められた年齢から年金を受け取ることができます。
一昔前は返戻率も高く、支払った保険料を上回る年金を受け取れることが一般的でした。
しかし昨今の低金利の情勢では利率が低く、その魅力が薄れたと言われて久しいです。
ただし個人年金保険にもメリットはあります。
- 毎月ほぼ強制的に積み立てられるので、「つい貯金を使ってしまう」という方でも続けられる
- 毎月の保険料は所得控除の対象になる
さらに「変額保険」という運用タイプの商品を選べば、運用成績によっては年金受給額をアップさせることが可能です。
ただし運用成績が悪ければ支払った保険料を下回るリスクもあるため、慎重に判断する必要があるでしょう。
こうした個人年金保険が老後の「お金を使い切る」にどのように役立つのか見ていきます。
2. 「自分のお金を自分で使い切る」難しさ
一見、「老後のお金を自分で使い切る」というのはシンプルでわかりやすいことに思えます。しかし現実はそう簡単ではありません。
自分の寿命は誰にもわからず、いつまでにいくら使っても大丈夫かが判断できないからです。
仮に老後資金を2000万円貯めたとしましょう。毎月15万円ずつ使うとすると、15万円×12カ月=1980万円。約11年で底をついてしまいます。
65歳に定年退職すると仮定すれば、76歳で貯金を使い切ってしまうことになります。
では毎月8万円にすればどうでしょうか。8万円×12カ月×20年=1920万円。今度は約20年を過ごせることになります。
数字上では計算できても、実際に自分は何歳まで生きる!と決めてしまうのは難しいですよね。
しかし、老後に公的年金と個人年金保険という「収入」を確保できればどうでしょうか。
公的年金と個人年金で生活費をまかなえるのであれば、老後資金の2000万円は娯楽に注ぐことができます。
毎月計画的に生活費に充てるよりも、使い切りに近づくでしょう。「歳をとれば趣味に使うお金は減る」という意見もありますが、実際にはその時にならなければわかりません。
残りのお金を考慮ながらも、思い切り趣味を楽しむことができます。
3. では公的年金の受給額はいくらなのか
参考までに、今のシニアが受給する公的年金の月額を厚生労働省年金局「令和2年度 厚生年金・国民年金事業の概況」からご紹介します。
3.1 国民年金の平均月額
〈全体〉平均年金月額:5万6252円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9040円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4112円
3.2 厚生年金(第1号)の平均月額
〈全体〉平均年金月額:14万4366円
- 〈男性〉平均年金月額:16万4742円
- 〈女性〉平均年金月額:10万3808円
日本の年金制度は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造となっているため、どちらの年金に加入しているかによっても異なります。
公的年金と私的年金を合わせていくら受け取ることができれば、生活費として十分なのかを考えてみましょう。
4. 個人年金保険の落とし穴
ただし、個人年金保険には注意したいこともあります。例えばその受け取り方です。個人年金保険の受け取り方には、大きくわけて3つの方法があります。
4.1 確定年金
被保険者が生存しているかどうかに限らず、一定期間中は年金を受け取れるタイプです。期間中に死亡した場合は、あらかじめ指定した遺族に支払われます。
4.2 有期年金
一定期間のうち、被保険者が生存している限り受け取れるタイプです。期間中に死亡した場合は支払いが終了します。ただし保証期間がある商品の場合、保証期間中に死亡すれば遺族が受け取れます。
4.3 終身年金
被保険者が生存している限り一生涯年金が受け取れるタイプです。死亡した時点で支払いが終了します。ただし保証期間がある商品の場合、保証期間中に死亡すれば遺族が受け取れます。
このうち、前項で解説した「自分の資産を自分で使い切る」ためには「終身年金」が選択肢となるでしょう。
生きている限り受け取れるというのがポイントですが、他のタイプに比べて「保険料が高い」ことに注意が必要です。
長生きに備えた商品である以上、早くに亡くなれば損をするリスクもあるのです。寿命は誰にもわからないため、こうしたリスクは十分に踏まえておく必要があります。
5. 突発的な支出に備えた対策も必要
老後の支出には思いがけないものもあります。持ち家の方はリフォーム代が必要になることもありますし、医療費や介護費がかさむ可能性も十分にあります。
こうした費用は、娯楽費以外にしっかり備えておく必要があるでしょう。それでも「自分のお金は使い切りたい」と思うのであれば、すべて預貯金で賄うのではなくいろいろな保険を組み合わせることも有効です。
今は民間の保険でも医療保険や介護保険などが充実してきました。こうしたものをバランスよく備えることで、預貯金が減るのを防ぐことは可能です。
ただし、もちろん保険をかけるには「保険料」が必要です。「保険貧乏」という言葉もあるように、いろいろな保険をかけることで今の生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。
どんなリスクには現金で備え、どんなリスクには保険で備えるのか。その見極めが必要になるでしょう。
6. 個人年金保険のまとめ
「自分のお金は自分で使い切りたい」というニーズに対し、「個人年金保険」という解決策をご紹介しました。
長生きリスクと両立させるためには、利率が低い今でも個人年金保険には一定のメリットがあります。
ただし保険料が高額になることなど、デメリットが存在することも事実です。しっかり情報収集をすることで後悔のない老後計画を立てておきたいですね。

