老後の暮らしを不安に感じる方も多いですよね。最近では「年金のマイナス改定」や「老後2000万円問題」など、将来のお金が不安になるニュースも流れてきます。
住んでいる地域や家族構成、ライフスタイル等でお金事情は変わるもの。お金の貯め時も個人によって異なりますが、それでも「知っておけば」回避できたケースもあります。
そこで今回は、自治体職員として相談に乗ってきた筆者が見た「老後のお金に困る」ケースをご紹介します。
老後のお金に困る人の特徴1. 一括で受け取った退職金を慣れない運用に回す
比較的よくあるのが、退職金を一括で受け取り運用に回してしまうケースです。
東京都産業労働局『中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)』によると、退職金制度のある企業1407のうち、一時金のみで支給する企業は666と、71.8%を占めます。
また一時金と年金の併用をする企業は216で23.3%。2つを合わせると、95.1%もの企業が退職一時金を支給するのです。
退職一時金のみの企業の場合、モデル退職金(定年)は高校卒で932万9000円、大学卒で987万4000円です。
約1000万円もの大金を一時金として受け取ると、「銀行に預けてしまうともったいない」という考えが巡ってしまうかもしれません。
実際、金融機関では「退職金向け」プランが多数用意されており、相談に行ったその足で申し込んでしまうこともあるのです。
退職金の運用自体は、間違ったものではありません。たしかに普通預金の金利は低いので、運用に回すことで増やしたいと思いますよね。
避けるべきなのは「運用初心者が一括で運用にまわしてしまう」というケースです。
初心者の場合、運用に不慣れなため値動きに敏感になってしまいます。しかし値下がりが続いても、「損をする」という感覚からなかなか売る決断ができません。
投資に慣れている方であれば、売る決断も素早くできます。その見極めが初心者には難しいため、損を拡大させるリスクが大きくなるのです。
反対にインデックス投資などでは長期で保有することが原則となるため、短期の売り買いに向いていません。しかし値下がりが起きると、初心者は保有することに不安を抱えて解約してしまう方もいます。
また「一括で」というのも危険ポイントですね。特に直近で使う予定のお金を投資に回すのはNGです。
住宅ローンの繰上げ返済や住宅のリフォームなどは、定年を迎えたタイミングで行うことが多いもの。
こうした費用まで投資に回してしまうと、損が出たときに一気に家の資産が下がります。運用は「分散」することがとても重要なのです。