50代。定年前でも資産運用を始められる?

50代といえば、年収のピークを迎える人や、教育費や宅ローンの支払いにめどがつくご家庭が増える時期です。

うまく支出額が減ってくるようであれば、現役世代のラストスパートとして貯蓄のピッチをあげられるでしょう。

まとまった資金ができた段階で、「資産運用」に挑戦する50代も多いです。銀行に預けていても金利がつかない以上、資産運用に回してお金を増やすことは確かに一つの選択肢になりますね。

ただし老後までの期間が短い50代にとって、「ハイリスク・ハイリターン」の運用は避けたほうが無難です。

手元の預金を守りながら、少しでも効率よくお金を増やせる方法を吟味していかれることをお勧めします。

例えばiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)では掛け金を拠出して運用に回し、60歳以降に年金形式等で老後資金を受け取れます。

掛け金を支払っている間は所得控除を受けられるので、現在の税負担を減らせます。運用益にかかる税金も非課税で、将来受け取るときにも各種控除が適用されるため、初心者にとって始めやすい選択肢となるでしょう。

50代で加入する場合、60歳まで加入するのであれば数年しか運用できません。加入期間が10年なければ60歳で受け取ることができず、加入と受け取りの間の空白期間が生まれてしまうことも。

しかし2022年度の年金制度改正により、一部の方の加入期間が65歳未満まで引き上げられます。制度改正によって加入期間を確保できるのであれば、検討してみてもいいでしょう。

このように、50代の資産運用では選択肢が少ない傾向にあります。それでも効率的な資産運用は選択肢となるので、情報収集は必須でしょう。

あわせて支出の管理も必要になります。定年に向けて、徐々に生活費の水準を落とす練習を始めていきたいですね。

貯蓄のモチベーションを保つカギ

50代の貯蓄事情を知ることで、将来に向けての危機感を持たれた方もいるでしょう。

平均値や中央値はあくまでも数字上のものなので、「机上の空論」に感じてしまうこともあります。

実際には個々の状況(年収、家族構成、居住地等)でさまざまですよね。大切なのは50代の貯蓄事情や「二極化」の現状を知ること。そして貯蓄のために何ができるのかを考えることです。

危機感はモチベーションに転換しやすいものです。まだ老後までの貯蓄に間に合う40~50代は、まだまだ貯蓄できる可能性が残っています。

貯蓄手段の「メリットデメリット」「合う合わない」「とれるリスク」をしっかり天秤にかけて、老後に向けた資産形成を始めてみましょう。

参考資料

太田 彩子