繰下げ受給は一つの選択肢になり得るか
2022年4月より、年金が75歳まで繰下げられるようになりました。増額率はひと月0.7%で、繰り下げた期間によって年金額が増額され、その増額率は一生変わりません。
具体的に何歳何カ月でどれくらい増額されるのか、その割合を確認しましょう。
70歳で42.0%、75歳で最大84.0%増額されます。繰下げにより、年金額が増額されるのは大きなメリットです。
一方で、年金を受け取るまでの生活費は自分で捻出する必要があります。また、長生きできなかった場合には、年金の総受給額が少なくなってしまう可能性もあるでしょう。
繰下げ受給はメリットもありますが、自分に適しているかは慎重に考えて検討する必要があります。
老後の備えとして繰下げ受給を一つの選択肢にするも、その他の方法で二重、三重と備えるほうが安心でしょう。
たとえば、長く仕事を続けるのも一つ。仕事による収入が入れば貯蓄を崩すスピードが緩やかになりますし、生活に張り合いも出るでしょう。定年後、自分はどんな仕事をしようかということは早めに考えたいですね。
また、いま話題のつみたてNISAやiDeCoといった制度を使って、運用を取り入れて備えるのも一つです。リスクはありますが、運用に定年はなし。資産運用の知識と経験をつけて、リスクを抑えながらご自身に合った方法で資産を育てていく方法を検討するのも良いでしょう。
年金の繰下げ受給や仕事、運用、それぞれにメリット・デメリットはあります。ただ複数の方法を取り入れることで、それぞれのデメリットを補うことも可能です。長い老後、そしてひとりの老後だからこそ、自分に合った対策をいくつか考えていきましょう。
参考資料
宮野 茉莉子