「子どもの世話がひと段落したから、しっかり働きたい」「定年後もまだまだ働きたい」「新しい仕事に挑戦してみたい」
このような仕事に対する意欲がではじめたとき「でも、スキルや経験がなくて不安…」と感じる方も多いのではないでしょうか。そんな不安を解消する選択肢のひとつが、厚生労働省の「ハロートレーニング」です。テキスト代以外は無料で受講でき、条件を満たせば一部の訓練で一定の手当が支給されることもあります。
今回はその中から、就職率が高く人気の「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」について、最新の実績データをもとにわかりやすく解説します。
1. ハロートレーニングとは?再就職やスキルアップを目指す人を支援
ハロートレーニングは、厚生労働省が実施する公的な職業訓練制度の総称で、再就職やスキルアップを目指す人を支援する取り組みです。求職者や在職者を対象に、全国のポリテクセンター(ものづくり分野を中心とした実践的な訓練を行う専門機関)や都道府県・民間機関で多様な訓練コースを提供しています。離職者訓練や在職者訓練、学卒者訓練などがあり、ハローワークを通じて受講申込みができます。
今回はテキスト代を除いて無料で学べる「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」についてポイントを解説します。
2. 公共職業訓練(離職者訓練)とは?雇用保険受給者向けの無料訓練制度
公共職業訓練(離職者訓練)は、主に雇用保険を受給している、または受給資格のある離職者を対象として再就職に必要なスキルや知識を無料で学べる制度です(テキスト代等は自己負担)。受講期間はおおむね3か月〜2年で、実施機関にはポリテクセンター(国)、都道府県、民間教育機関などがあります。
受講内容は、電気・機械・建築などの製造系や、介護・事務・情報処理などのサービス系まで幅広く用意されています。訓練の形態には、公的な訓練施設で直接実施する「施設内訓練」と、都道府県が民間教育機関に委託して行う「委託訓練」があります。受講期間中は、基本手当に加えて受講手当(500円/訓練日)、通所手当、寄宿手当が支給される場合があります。これらの手当は受給資格や要件を満たした上で別途、申請の手続きを行う必要があります。
2.1 公共職業訓練(離職者訓練)の受講者はどんな年代が多い?
また、令和5年度の離職者訓練の受講者は9万5752人でした。
公共職業訓練(離職者訓練)の受講者は様々な年齢層に分かれています。また、全受講者が約6割が女性で、就職率においても多くの年代で男性と同等か、それ以上の高い傾向が見られます。
受講者の就職率も高く、20歳〜64歳までは7割台、さらに65歳以上のシニア層でも66.4%が就職しており、公共職業訓練で学び、幅広い年代が再就職していることがわかります 。
3. 「求職者支援訓練とは?」雇用保険を受給できない人の再出発支援
求職者支援訓練は、主に雇用保険を受給できない求職者を対象としており、就職に必要なスキルや知識を無料で学べる制度です(テキスト代等は自己負担)。受講期間はおおむね2〜6か月で、訓練は基礎コースと実践コースに分かれています。
求職者支援訓練では、訓練期間中に所定の要件を満たすことで、月額10万円の受講手当に加え、通所手当や寄宿手当が支給される場合があります。また、職業訓練受講給付金の対象外であっても、本人の収入や世帯収入などの一定の要件を満たせば、通所手当のみの受給が可能です。
3.1 求職者支援訓練では何が学べる?
2つのコースにわかれる訓練ですが 、基礎コースは社会人としての基礎的な能力を習得する訓練です 。実践コースは受講者数全体の86.5%を占め 、介護、情報、医療事務などの専門分野を学ぶことができます 。中でも「営業・販売・事務」分野が受講者数の32.1%と最も多く、次いで「デザイン」分野が30.9%を占め、これらは比較的人気のあるコースです 。また、「IT」と「デザイン」分野は応募倍率がそれぞれ1.08倍、1.28倍と他の分野に比べてやや高い傾向にあります。
また、令和5年度の求職者支援訓練の受講者は4万4699人でした。受講者は25歳〜29歳が16.1%と最も多く、60歳〜64歳で5.0%、65歳以上で1.7%と比較的幅広い年代が受講していることがわかります。就職率も全体で約6割と比較的高めで、なかでも「介護・医療・福祉」分野は約7割と安定した実績が見られます。
4. 「急がば学べ」学び直しで再出発!無料ではじめるスキルアップ
今回は無料で学べるハロートレーニング、「公共職業訓練(離職者訓練)」と「求職者支援訓練」についてポイントを解説しました。どちらも対象者はハローワークの求職者なので、受講に関する手続きは基本的にはハローワークで行います。まずは、最寄りのハローワークまでご相談ください。
やりたい仕事があっても経験やスキルが不安な方には、専門的・実践的な力を身につけられる訓練の受講が効果的です。訓練中もハローワークや施設で就職相談ができるため、ハロートレーニングのキャッチフレーズである「急がば学べ」の言葉どおり、少し時間をかけて準備することで就職の可能性が広がります。
参考資料
- 厚生労働省「ハロートレーニング」
- 厚生労働省「ハロートレーニング(公共職業訓練・求職者支援訓練)の全体像」
- 厚生労働省「令和5年度公共職業訓練等実績」
- 厚生労働省「令和5年度求職者支援訓練実績」
- 厚生労働省「就職支援・給付金などについて知る」
村岸 理美