高所得貧乏は老後こそ苦労する

高所得貧乏さんの暮らしは、「来月も同じだけの収入が入ってくる」ことに支えられています。

ところが、老後をむかえて年金暮らしとなればそのままの生活水準を維持するのはむずかしいのではないかと思います。

その理由は、所得代替率にあります。

所得代替率とは、「年金受給開始時点(現行65歳)の年金額が、現役中の手取り年収とくらべてどのくらいの割合になるか」をあらわしたものです。

この所得代替え率は、公的年金を試算する上でのモデル世帯を基準として考えると、モデル世帯より収入の低い人の方が代替率が高く、収入が高い人ほど低くなる仕組みになっているのです。

(※モデル世帯:40年間厚生年金に加入する平均年収の世帯主と20歳~60歳まで専業主婦で国民年金のみ加入の妻)

収入の多い人は公的保障だけでなく自分で民間の保険への加入や貯蓄に回す余裕がありますが、そうではない人は年金頼みの生活となってしまうことからこのような仕組みとなっているのでしょう。

もちろん高所得者は現役中に支払っている保険料も高いため、年収が高い人ほど受け取れる年金額が多いことには変わりありません。

「現役中の収入を年金だけでどれだけカバーできるか」という視点では高所得者のほうが厳しい懐事情となってしまうのです。

高所得貧乏のまま年金生活が始まれば、生活水準はそのままに収入だけが大きく減ることになってしまいますからそれまでに家計の見直しや貯金をする習慣をつけておきたいですね。

参考資料

尾崎 絵実