高所得貧乏は老後こそ苦労する
高所得貧乏さんの暮らしは、「来月も同じだけの収入が入ってくる」ことに支えられています。
ところが、老後をむかえて年金暮らしとなればそのままの生活水準を維持するのはむずかしいのではないかと思います。
その理由は、所得代替率にあります。
所得代替率とは、「年金受給開始時点(現行65歳)の年金額が、現役中の手取り年収とくらべてどのくらいの割合になるか」をあらわしたものです。
この所得代替え率は、公的年金を試算する上でのモデル世帯を基準として考えると、モデル世帯より収入の低い人の方が代替率が高く、収入が高い人ほど低くなる仕組みになっているのです。
(※モデル世帯:40年間厚生年金に加入する平均年収の世帯主と20歳~60歳まで専業主婦で国民年金のみ加入の妻)
収入の多い人は公的保障だけでなく自分で民間の保険への加入や貯蓄に回す余裕がありますが、そうではない人は年金頼みの生活となってしまうことからこのような仕組みとなっているのでしょう。
もちろん高所得者は現役中に支払っている保険料も高いため、年収が高い人ほど受け取れる年金額が多いことには変わりありません。
「現役中の収入を年金だけでどれだけカバーできるか」という視点では高所得者のほうが厳しい懐事情となってしまうのです。
高所得貧乏のまま年金生活が始まれば、生活水準はそのままに収入だけが大きく減ることになってしまいますからそれまでに家計の見直しや貯金をする習慣をつけておきたいですね。
参考資料
尾崎 絵実
執筆者
短期大学卒業後、富国生命に入社。その後、大手保険代理店を経て、ファイナンシャルアドバイザー業務に従事。これまでに約1000以上の世帯からお金のご相談を受け、ファイナンシャル・プラニングを実施。常に最新の情報を把握するように努め、保険だけではなく、様々な金融商品を活用した総合的な資産運用を目指す。2020年 MDRT 日本会会員。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP3級)、一種外務員資格(証券外務員一種)を保有。
監修者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部 編集長室
LIMO編集部記者/元新聞記者
担当分野
金融と社会保障分野の専門知識を生かし、主に公的年金(厚生年金保険と国民年金)、公的年金制度の仕組み、社会保障、貯蓄、マイナンバー制度など幅広くカバーしている。
信頼性の高い情報源をもとに、政策の変遷や最新の貯蓄トレンドを掘り下げた記事も手掛けているが、難解な情報を分かりやすく伝えることを意識している。
また、退職金、資産運用や貯蓄、NISA、iDeCoなど、多岐にわたるテーマについて企画・編集・執筆している。
経歴
中央大学法学部を卒業後、東証プライム上場の大手IT企業でキャリアを開始。
その後、厚生労働省の記者クラブにて約3年間、医療保険制度や介護・高齢者福祉に特化した社会保障の専門紙で記者として働いた。
ここで社会保障分野に関する深い知識と実務経験を積み、複雑な制度の解説や政策を分析するスキルを磨いた。
現在は、株式会社モニクルリサーチが運営するくらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部にて、金融と社会保障分野に特化した記事を執筆している。
スタンス
信頼性の高い情報をもとに読者の皆さんに実用的で分かりやすい内容を届ることを大事にしている。
厚生労働省、金融庁、総務省、デジタル庁、財務省(国税庁)などの信頼性の高い官公庁の公開情報を基に、読者が日々の生活や将来の計画に役立てられるようなアドバイスを心掛けている。
単に情報を提供するだけでなく、実践的で信頼できるコンテンツを作り続けることを目指している。
最終更新日:2024年11月11日