生活の水準は人それぞれでしょう。とは言うものの将来、「公的年金だけで充分な生活ができる」と考えている方は少ないのではないでしょうか。

2021年12月に厚生労働省が発表した「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の平均額は約14万円。本当にこの金額を頼りに、老後の生活を計画しても大丈夫なのでしょうか。

私は以前、生命保険会社に勤務し、数多くのお客さまから老後のお金の相談を受けてきました。その経験もふまえ、今回は現在のシニア世代の厚生年金の受給額事情を紐解きながら、老後のお金の備え方についてお話ししていきます。

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そもそも公的年金のしくみとは

まずは、日本の年金制度について確認しておきましょう。

国民年金(基礎年金)は、日本国内に住むすべての20歳から60歳未満の人を加入対象としています。

年金保険料は定額制(保険料額=基本額1万7000円×保険料改定率)をとっており、20歳から60歳の40年間すべて保険料を納付すれば「満額」(78万900円×改定率)が受け取れます。納付期間が足りない場合はその割合を満額から差し引く計算方式をとっています。

ちなみに2022年度の満額は2021年度より0.4%引き下げられ6万4816円となります。

一方、厚生年金は国民年金に上乗せする形で報酬比例の年金を支給する制度です。

そのため、勤務先にそもそも厚生年金の制度があるのか、どれだけの期間勤務しているか、毎月の報酬月額はいくらか、などが受給額を大きく左右します。

上記のことから、日本の年金制度は「2階建て構造」などと呼ばれています。