グラフが充実しているので、慣れてきたら活用しよう

文章のみならず、グラフが充実しているのも月例経済報告の有難い点です。経済の統計も株価等の動きも、比較的長期間のデータを用いて過去との比較で考える事が重要なのです。

「今月はプラスだった」というだけでなく、過去10年の平均と比べてどうだったのか、といった事も併せて考える必要があります。株価が下落した時なども、過去に何度も経験している程度の下落なのか過去にあまり例がないほどの暴落なのか、といった事を知ることが重要だからです。経済成長率がマイナスになった時なども同様です。

というわけで、慣れてきたら時々豊富なグラフをじっくり眺める習慣をつけていただければと思いますが、とりあえず本稿ではグラフを3つ紹介しておきましょう。

「GDPギャップ」

景気に関する経済統計で最も重要なのは、経済成長率ですから、本来であればGDPのグラフを真っ先に見るべきなのですが、残念なことに日本のGDP統計は振れが激しく、初心者が見ても何が起きているのかわかりにくいのです。

そこで筆者は、一般にはあまり注目されていない「GDPギャップ」というグラフを初心者向けに推奨しています。プラスなら景気が良い、マイナスなら景気が悪い、という水準が容易にイメージ出来るからです。

GDPギャップのグラフも、GDP統計を基に作っているので、振れる事には違いありませんが、細かいことは気にせずに大きな流れを把握するようにして下さい。

景気動向指数

次は景気動向指数です。景気と関係の深そうな経済指標を数個選んで、その動きを「加重平均」したものです。当然ながら個々の経済指標が出揃ってから計算されて発表されるわけで、プロたちの間ではあまり注目されていませんが、初心者にとっては「一つだけ見れば良い」ので便利です。

色々な数字が並んでいますが、「CIの一致指数」のグラフを見ましょう。これが景気だと考えて良いでしょう。製造業関係の指標が多く使われているので、輸出と内需の様子が異なる時は、輸出の動きを反映したものとなりやすいという問題点はありますが、それほど気にする必要はないでしょう。