完全失業率
3つ目は、完全失業率です。これは有名ですし、「景気が良い時は失業者が減るのだから、失業率こそ景気を表している」と考えている人も多いでしょう。厳密に言えば、失業率の動きは景気の動きに少し遅れるので、要注意なのですが、これもそれほど気にする必要はないでしょう。
ちなみに、失業率の動きが遅れる理由は二つあります。一つは、景気が回復しても企業が労働者を雇うまでに時間がかかるからです。現在の社員の尻を叩いたり残業させたりして、それでも労働者が足りなくなってはじめて新しく募集する、というわけです。
もう一つの理由は、仕事を探しているけれども見つかっていない人が失業者となるので、不況期に仕事探しを諦めている人は失業者ではないのです。そこで、奇妙な事が起こり得ます。景気が回復すると仕事探しを諦めていた人が仕事を探し始めるので、失業者がなかなか減らなかったり、場合によっては増えてしまったりするわけですね。
本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。
塚崎 公義