景気の現状を手っ取り早く理解するには、月例経済報告を見るのが便利です(経済評論家 塚崎公義)。
日銀の展望レポートは初心者には難解
日本で景気に関する専門家がもっとも集まっているのは、日銀と内閣府(かつての経済企画庁)でしょう。日銀は金融政策をどうするか考えるために景気の現状と見通しを正確に把握する必要がありますし、内閣府は政府の経済政策を決める前提として景気の現状と見通しを把握する役割を負っているからです。
したがって、景気に関して知ろうと思ったら、日銀と内閣府の作っている資料を読むのが良いでしょう。日銀は展望レポートを、内閣府は月例経済報告を定期的に発表しているので、ホームページで読む事が出来ますから。
もっとも、展望レポートは、読者対象が金融市場で取引しているプロなので、内容も表現も難解で、初心者が読んでもよくわからないかも知れません。
為替や株価は日銀の金融政策によって大きな影響を受けるので、市場参加者は日銀の考え方を知りたがっています。それに応えるために日銀が自らの景気に関する考え方を積極的に開示しているというわけです。「市場との対話」と呼ばれています。
日銀が、自分の考えている事を上手に伝えておかないと、金融政策が変更された時に市場参加者が驚いて、株価や為替の市場が混乱するリスクがあります。そこで、あらかじめ少しずつ自分の考え方を市場に伝えておいて、市場が将来の金融政策の変更を徐々に織り込むように仕向けるのです。そうすれば、いざという時の混乱は避けられますから。