2022年4月以降、年金の繰り下げ受給が75歳までへ拡大されます。これまでは70歳までの繰下げで最大42.0%の増額(増額率はひと月0.7%)でしたが、75歳まで繰り下げると最大84%増額となります。

株式会社エイチームフィナジーが2022年1月21日~24日に全国の10代~50代の男女525名に行った「老後の資金計画と年金受給改正法」によると、今回の年金受給改正法を受けて65歳以降も働きたいと答えたのは約4割でした(2022年2月24日公表)。

一方で、「老後、自身が受け取る年金の額を把握していますか?」という質問には46.5%が「全く知らない」と回答しています。

老後資金を考える時、まず確認したいのは老後生活の柱となる「年金」です。同調査より老後資金への意識を見ながら、今のシニア世代の厚生年金の受給額も確認していきましょう。

年金の受給開始タイミング、ずらそうと思うは20.8%

繰下げ受給による増額率をみると、「できるだけ長く働いて、その分年金を繰り下げよう」と考える方もいるでしょう。ただ、年齢を重ねるにつれて、病気や怪我のリスクは上がります。

先ほどの株式会社エイチームフィナジーの調査では、「年金の受給開始タイミングを後にずらそうと思いますか?」という質問に対しては「はい」が20.8%、「いいえ」が31.4%。働き続けたいとは思うものの、繰下げ受給に関しては積極的には考えられない方も多いようです。

年金の受給を後にずらそうと思う人と思わない人のコメントを確認してみましょう。

ずらそうと思うと回答した人

  • できるだけ長く働きたいと思っているから(39歳女性)
  • なるべく国の財政難も考慮しつつ若い世代の負担も軽減したいから(26歳女性)
  • 受け取ることで仕事が減りそうだから(21歳女性)
  • 年金をあてにしなくても生活できるようになっているから(28歳男性)

ずらそうと思わないと回答した人

  • 高齢者を雇用する企業は僅かしかないから(59歳男性)
  • 早く貰わないと貰えなくなる可能性があるから(52歳男性)
  • 健康寿命が長いとは考えられないから(47歳男性)
  • 結果的に受給金額が減る可能性が高いため(53歳女性)

ずらそうと考える人は20~30代が、ずらさないと考える人は40~50代の方が目立ちます。

若い年代の方は長く働けると考える方が多いですね。一方でずらさない方は、実際に働き続けられるかわからないこと、また健康面の問題を気にされる方が多いようです。

年齢を重ねるにつれ、体力の衰えを感じたり、病気への不安を感じたりして現実的なことを考えるのでしょう。厚生労働省によると、2019(令和元)年の健康寿命は男性で72.68歳、女性で75.38歳です。