一般的に、スポーツや自然体験といった体験学習は、子供の成長を促しプラスに働くと考えられています。

何となく「子どもの頃の体験は将来に影響がある」とは予想できるものの、日頃の忙しさからあまり時間をかけてあげられない保護者の方も多いかもしれません。

文部科学省が2020年度に発表した「青少年の体験活動に関する調査研究結果報告」では、2001年度生まれの2万人以上の子どもとその保護者を対象に18年間追跡調査し、分析した結果が載っています。

日本の公的機関による18年という長期間の追跡調査事例は多くはなく、極めて貴重な調査研究といえるでしょう。

18年に及ぶ大規模追跡調査からみえた「子どもの体験」の重要性

文部科学省は、「青少年の体験活動に関する調査研究」の目的として「子供の頃の体験がその後の成長に及ぼす影響を明らかにすること」としています。

調査データは「サンプル数が各年約2.4万から4.7万、調査頻度は0歳から18歳まで年1回」と大規模なものになりました。サンプル数が大きければ大きいほどデータの信頼性が高まります。

幼児期や小学生の頃の自然体験や文化体験の多さと、高校生になってからの自己肯定感との関連性をみる調査ですが、成長段階に合わせて以下のように回答データを集めました。

  • 子供が0歳から5歳の時期に保護者が回答した「家庭による背景・環境、属性等」(世帯類型、父母の収入、親子のかかわり・しつけ等)に関する回答データ
  • 子供が6歳から12歳の時期に保護者が回答した子供の「体験」(体験活動、遊び、読書、お手伝い)に関する回答データ
  • 子供が12歳から18歳の時期に子供本人が回答した現在の「意識等」(自尊感情、向学校的な意識、外向性、精神的回復力、心の健康)に関する回答データ

就学前・小学生時代は保護者が回答し、中学生以降は子ども本人が回答。3つの段階を設けたことで、より家庭環境と体験そして子ども本人の精神状態の関係性を把握することができます。