8月は年金支給月。2025年度は年金額が昨年より引き上げられましたが、物価高騰やマクロ経済スライドの影響で、「生活が楽になる」と実感できる方は少ないかもしれません。

そこで今回の記事では、2025年度の年金額が昨年と比較してどのように変化したか、さらに、現代のシニアが実際に受け取っている年金額についても見ていきます。

また、記事の後半では、将来の年金を増やすために今からできる工夫や備えも紹介しますので、さっそく見ていきましょう。

1. 【2025年度の年金額】増額でも実質は目減り

2025年度に支給される年金は、前年度比で1.9%引き上げられています。つまり、金額そのものは増えていることになります。下記の年金額例で確認してみましょう。

  • 国民年金(満額の老齢基礎年金・1人分):6万9308円 ※前年度より1308円プラス
  • 厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な額):23万2784円 ※前年度より4412円プラス

受け取る年金は一人ひとり異なるので、上記はあくまでモデルケースですが、国民年金は1308円、また、標準的な夫婦世帯が受け取れる額は4412円のプラスになっています。

年金額は物価上昇率や名目手取り賃金変動率を用いて毎年見直されます。2025年度はマクロ経済スライドによる調整が行われており、名目手取り賃金変動率(2.3%)から調整率(−0.4%)を差し引くことで年金の伸びが抑制されています。つまり、物価や賃金の伸びほどには増えていないことになります。

なお、改定後の年金が実際に振り込まれるのは6月からで、2025年6月に支給されたのは2025年4月分と5月分の年金です。また、2025年度に受け取れる年金は年1回、6月上旬に発送される「年金振込通知書」で確認できます(※口座振込の方)。