贈与税の配偶者控除と相続税対策の効果・注意点

相続税法では、不当に相続税の納税を回避するための措置として、相続開始前3年以内に死亡した人からの贈与による財産は、相続財産として取り扱う規定があります。(以下、生前贈与加算とします)

たとえば、1億円の財産を持っている人が余命1年の宣告を医師から受け、1年後に死亡した場合、余命宣告を受けてからすべての財産を贈与して、相続税の納税を免れるといったことはできないイメージです。

ただし、贈与税の配偶者控除を適用して贈与を受けた財産は、生前贈与加算の対象外となるため、相続財産を減らす効果が得られ、結果として、納めるべき相続税を減らすことが可能になります。

その一方で、居住用不動産の贈与を受けた人は、別途、不動産取得税や登録免許税の納税負担や登記費用がかかること、相続時に宅地の財産評価を下げる小規模宅地の特例が受けられないといった注意点もあります。

一般に相続税対策は、早い時期から計画的に取り組まれることが推奨されているものの、贈与税の配偶者控除における効果や注意点を考慮しますと、この制度を適用した方がよいのかどうか迷う人も多いかもしれません。

そのため、早期の相続税対策の1つとして、時には、税理士などの専門家を通じて財産の評価や長い目で見たときに最も有利な対策方法についてのアドバイスを聞いておくのも一策といえそうです。

参考資料

佐藤 元宣