Airbnb(エアービーアンドビー)という言葉を聞いたことがありますか?日本では「民泊」と言う言葉で定着してきていますが、Airbnbはその「民泊」の世界的な仲介サービスです。そのAirbnbを使って民泊を行いたい人向けの代行サービスがあることはご存知でしょうか?そんなAirbnbの代行サービスについて解説していきます。

Airbnbって何?!

Airbnbの代行サービスと言っても、まずAirbnbって何なのかが知らない方が殆どだと思います。まずは、airbnbについてです。

Airbnbはアメリカの新しいビジネスモデル会社

Airbnbはアメリカ・サンフランシスコに本社のあるソーシャルネットワーキングサービスを行う会社です。SNSと言ってもフェイスブックなどのようなものではなく、「部屋を所有している人」と「部屋に一時的に滞在する旅行者」をつなげるマッチングサービスです。

例えば、ある地域に旅行に行きたいと考えている人(ゲスト)がAirbnbへ登録すると、その地域で部屋を貸すことができる人(ホスト)を検索することができます。お互いの条件が合えば、宿泊の予約をすることのできる旅行サイトなどと同じような使い方をすることができるSNSです。

世界中にホストがいる

ゲストにとってAirbnbを使用するメリットは、世界中にホストがいて、宿泊を直接依頼することができることです。様々な形態のゲストルームが登録されており、ワンルームにホストと滞在して現地の生活を体感できるようなルームから、一軒家に数人で宿泊し、わいわいパーティをしたり、お城などもゲストルームとして登録されています。

様々な形のゲストルームが登録されていますが、基本的にはホテルに泊まるより割安な場合が多いです。日本では民宿などが古くからありますが、個人で一部屋単位の民宿を行うようなイメージとなります。旅行好きにとってはホテルもいいけど、こうしたゲストハウスのようなところにリーズナブルに泊まりたいという需要もあります。貧乏旅行にはもってこいのシステムと言えます。ホテルのサービスもいいですが、現地の人との触れ合いもAirbnbを活用する大きな魅力ともなっています。

ホストとゲストの宿泊費の中の手数料で運営している

Airbnbは、宿泊を行ったゲスト、ホストの双方からサービス料が支払われる形で運営を行っています。Airbnbは、完全なマッチングサイトの役割をしており、それぞれのホストのゲストルームの特色などは、それを提供するホストに任せられているというものです。そのため、個性的なゲストルームが並び、普通の旅行では満足できないゲストの欲求をかゆいところに手が届くような格好で満足させています。

Airbnbと日本における「民泊」ビジネス

家の一部を宿泊施設として旅行客を宿泊させる場合、今までは旅館業法による届け出が必要でした。Airbnbは様々な形態のゲストルームがあるため、旅館業法が間に合っていない部分もありますが、ビジネスとしてAirbnbのホストを登録する場合、旅館業法や民泊新法による届け出が必要となります。旅館業法による届け出をする場合、必要な延床面積など従来の法律では制約が多数ありました。

しかし、国家戦略特区による指定地域では、こうした旅館業法による届け出を緩和された「民泊許可」を取得することができます。

ワンルームマンションを購入してAirbnbへ登録する例も

国家戦略特区による指定地域(特区民泊)では、ワンルームマンションなどを民泊目的で購入し、事業として民泊を行う例も出てきています。外国人の観光客が滞在するための施設として運営する場合などもこの特区であれば、民泊による申請でAirbnbによるホストとして集客を行うことができます。こうした新しい収入源に民泊を検討し始めている人も多くなってきています。

Airbnbの代行サービスとは何か?

今までの説明で、Airbnbや民泊などが注目を集めていることがお分かりいただけたかと思います。では、今回のメインテーマでもあるAirbnb代行サービスについて説明していきます。

新しい形の不動産投資事業

不動産投資は、マンションや一軒家などを購入し、他人に貸し出す、住んでもらうことで収益を得る事業です。Airbnbの代行サービスは、言わば新しい形の不動産投資と言っていいでしょう。様々なサービス展開を行っている代行サービス業者が多数ありますが、Airbnb利用可能賃貸物件の検索から、ホスト登録、集客、ゲストとの対応、清掃、トラブル発生時の対応などまで一括で行っている代行サービスなどもあります。Airbnbの代行サービスを利用すれば資金のみを提供し、管理はすべて委託する形となります。

Airbnb代行サービスのメリット

大きな資金を必要とせず、リスクも低い

一般的な不動産投資は不動産購入を必要とし、他人に貸す場合も借り手が長期間見つからない可能性もあります。また、借り手が見つかっても、家賃滞納などの可能性もあり、様々なリスクが考えられます。しかし、Airbnbでは、一泊ごとに金額を徴収し、観光客などを受け入れれば、宿泊料金を踏み倒すといったことは起こりません。賃貸物件をAirbnbで運営すれば、採算が取れなくなってしまった場合は賃貸契約を解除すればよく、リスクも低いと言えます。

また、一般的なAirbnb代行サービスでは、Airbnbによる売り上げの割合で利用料を請求するシステムとなっているため、赤字に陥る可能性も低いです。

自分で行う煩わしさがない

通常、Airbnbを自分でホスト登録する場合、プロフィール写真やゲストに対するプロモーション、宿泊日程管理や清掃などすべて自分で行う必要があります。Airbnbのホストに専念しない方にとっては、こうした運営を行っている時間が取れないことが多いです。そんな煩わしい運営を一手に引き受けてくれて、Airbnbの売り上げの一部から利用料を徴収するのですから、副業として考えている人にとっては好都合です。

Airbnb代行サービスのデメリット

利用料がかかる

当然のことですが、Airbnbのホストを代行してもらうのですから利用料はコストになります。これに見合った収益のある物件でなければ代行サービスの利用はできなくなります。Airbnbの代行サービス自体がまだ始まったばかりのビジネスのため、適正な利用料自体もまだあまり確立しておりません。

ホストとの触れ合いを期待しているゲストにとっては不評

Airbnbを利用するゲストの中には、その国や土地の人との触れ合いを期待して利用する人も少なくありません。そんなゲストにとってこの代行サービスを利用したゲストルームは、何となく無機質で、味気ない感じがするとの意見があります。

ゲストによっては、あまりに普通すぎる部屋がゲストルームだった場合、「普通のホテルに泊まったほうがよかった」と感じる人も中にはいるかもしれません。Airbnbのゲストの中には旅に慣れていて、普通の旅では満足していないからAirbnbで特別な旅を求めているという人もいます。そんな人が仮に宿泊した場合、宿泊後の評価で低評価を付ける可能性もあります。

Airbnb代行業者とホストやゲストとのトラブル

本来、ホストとゲストを仲介するAirbnbにさらに代行業者が入るのですから、様々なトラブルの可能性が広がります。ホストとゲストでは、対個人で話が分かりやすいです。しかし、代行業者が入ると、ホストの意図したことを代行業者が行っておらず、それによってゲストから不評になるということも少なくありません。

また、部屋の鍵の受け渡しなどは代行業者が行うことがありますが、ゲストがホストだと思って話をしていた相手が、実は代行業者の人間だったなどという事実がある時にわかってしまうと、旅行で来た楽しい気持ちを踏みにじってしまう可能性すらあります。ゲストをだますつもりはなかったのですが、結果的に騙すような形になってしまうトラブルもよくあります。

それでも代行業者を使って効率化したい!注意点は?

そんなAirbnbの代行業者ですが、それでも効率化のため代行業者を使いたいという場合は、業者の評判などを確認するようにしましょう。Airbnb代行は、まだ市場に出始めたばかりで知名度も少ない業種です。あまり多くの情報はなく、契約内容をしっかりと確認しないと、様々な理由で思っていたものと違うサービスを受けることとなってしまいます。こうした業種は新規参入の業者も数多くあり、ホームページなどで掲げていた内容を実際にはできないなどという業者もあります。

Airbnbは本人が運営することを想定したものです。しかし、どうしても代行サービスを利用したいという場合は、業者の様子見期間を設けて、その間は注意深く業者の動きを観察し、ダメな業者はすぐに変えると言った臨機応変な対応も必要ではないかと思われます。

結局、Airbnb代行サービスって使うべき? 使わないべき?

Airbnbのサイト自体はホストとゲストのマッチングを目的としたSNSです。そこに敢えてホストの代行サービスを有料で依頼するのですから、それに見合ったものでなければなりません。Airbnbの代行サービスの紹介をしてきましたが、結局のところ、Airbnb代行サービスは効率化の有効な手段となるのでしょうか?

おもてなしの精神を大事に

Airbnbとはいえ、ビジネスとしてやっていくためにはホテルや民宿といった他の宿泊施設と競争していかなければなりません。ゲストの気持ちに立てるようなおもてなしの精神があるAirbnb代行業者であれば、サービス利用に値すると感じます。一般的なホテルのような味気ないサービスしかできない業者であれば、最初は収益が上がるかもしれませんが、最終的にはホテルなどに宿泊客を奪われてしまう可能性もあります。他にはないホスピタリティーのようなものを持てる代行業者であれば、信頼できるのではと考えますが、利用料金との兼ね合いも考慮しなければなりません。

現状、代行を依頼できるのは清掃、内装管理のみ??

主観ではありますが、現在、Airbnb代行を依頼できる内容というのは清掃のみなのではと感じます。一部ネットの情報などでは、ゲストへのプロモーションのためにホストアカウントを代行業者に渡したところ、アカウント利用停止などの状態になっていたとの報告もありました。アカウント管理とプロモーション、部屋までの案内などのゲスト対応などは自分で行う必要がまだまだあると考えます。掃除と内装管理については代行業者に依頼できる部分ではないかと感じます。

ゲスト対応やアカウント管理、プロモーションはマネジメントの部分ですので、外注するためには、よっぽど信頼できる業者である必要があります。本来はそういった部分はホテルでも従業員で対応することがほとんどであり、外注に出すリスクもあります。

これからのAirbnbや地域拡大で代行業者が増える可能性も

現在、都内の一部地域や大阪のみでしか民泊の許可が出されていません。また、Airbnbの代行サービスの利用者が少なく情報が少ないため、代行サービスを展開する業者がいい業者なのかというものの判断材料が著しく少ない状態にあります。それは、民泊やAirbnbという言葉は聞いたことはあるけれども具体的にはよく知らないという人が多いからではないかと思います。

これから先、民泊営業可能な地域が増え、Airbnbの代行サービスが定着してくれば、様々なサービスを展開する業者も出てくるのではないかと考えられます。今の代行サービスは不動産業者やハウスクリーニングを行っている業者が新規事業ということで行っているような業者が多く、普通のホテルと変わりないようなことが多く、味気ないものとなる場合が多いです。

例えば、イベント企画会社がAirbnbの代行サービスなどを始めた場合、ゲストルームでのイベントや他の様々な体験などをセットにした代行サービスなどを始めることも考えられます。そんな異業種からの参入が代行サービスの幅を広げていくのではないでしょうか?

まだまだ発展途上の市場

Airbnb代行サービスの市場はまだまだ発展途上ではないかと考えられます。国家戦略特区による指定地域での利用を挙げていることから、政府としても注目しているAirbnbはこれからも国内に浸透してくる可能性が十分にあります。これからの新しいビジネスモデルとして、国内経済の活性化に一役買うのではと期待されています。市場的には創成期であり、まだまだ発展途上であると考えられます。

国内のAirbnbの代行サービス会社

では、国内のAirbnbの代行サービス会社はどのような会社なのでしょうか?

民泊の一元サービス会社 「Zens」

ホームページ上からの会社概要やサービス内容などから、他のAirbnb代行業者と比較しても、情報公開を行っていることも信頼できる業者です。インテリアコーディネーターやカメラマンなども在籍することから、ゲストハウスのリフォームやAirbnbへの写真をアップする際にもプロの写真を掲載することができます。代行サービス業者の情報公開の多さが特徴です。

三種類のプラン別で選べる 「ミスタースイート」

多くのメディアにも登場している有名Airbnb代行サービス業者です。一元管理を行うプロジェクトマネジメントから、需要予測や収益の最大化などのマーケティングコンサルのみのプランもあり、ユーザーが選べるプランが取り揃えられています。この業者は収益を最大化するための集客やマーケティングに力を入れています。

海外のゲスト対応に特化 「バトラー」

海外からの集客を狙うには英語でのAirbnbアカウント登録から英語でのメールや電話でのやりとり、ハウスルールブックの作成など、英語が苦手だと感じる人のためのサービスが充実しています。こうした英語での対応のみであれば、1物件月額30,000円という利用料金の安さも魅力です。

代行サービス会社に大きな違いは見当たらなかった

Airbnbの代行サービス会社は、対応できる地域に違いがあるぐらいで、それぞれのサービス会社に大きな違いはなく、どこの会社も同じような看板を掲げて営業しているような状態でした。どのサービス会社を選んでも同じようなサービスを受けるのであれば、できるだけ安いところにと考えてしまうのは分かりますが、そういった業者はホームページ上でも情報公開が十分でなく、契約内容が詳しく分かりづらいものとなっていることがあります。

これはまだまだ業界が活性化されていなく、地域に代行サービス会社が一社しかないような所もあり、メディアなどに登場するような業界大手の寡占状態にあるものと思われます。

これからのAirbnb市場と代行サービス業界の動向

これからのAirbnb市場とそれに付随する代行サービス業界は今後どのようになっていくのでしょうか?過去のAirbnb市場推移より、これからの動向を探ってみました。

代行サービス会社の命運を握るAirbnb市場

上記のグラフは日本国内のAirbnbの登録件数の推移を示したものです。右肩上がりであった登録件数が鈍化していることがわかります。これは警察などによる違法民泊の取り締まりなどが影響しているものと思われます。違法民泊とは、旅館業法による届け出を出していない民泊業者を取り締まるものです。

ここでは、自分の家をAirbnbなどで小規模に宿泊させるようなものはそうした違法民泊には該当しません。(基準はあいまいですが小規模であれば摘発の可能性は低いです)違法民泊の基準に、ホストの生活の本拠ではない物件で営業すれば、違法地域であれば摘発される危険性が増加します。

これは、Airbnbの代行サービス会社が得意とする一元管理の物件に多く該当します。違法地域でない、かつAirbnb登録物件が旅館業法に基づく届け出をしてあればこうした摘発の対象にはなりませんが、Airbnbに参入しようと考えている人にとっては摘発のリスクがあるということが二の足を踏ませているのではと予想できます。

登録件数が増えない業界に付随するサービス会社に未来はあるのか?

基準もあいまいで、摘発により顧客を失うリスクのあるAirbnb代行サービス業者に未来はあるのか考えてみます。海外ではホテルなどのようにしっかりとした宿泊者台帳があるわけではないAirbnbは、しばしばトラブルや犯罪の素となることもあります。

そのため、経済成長を考えると規制を取り払って積極的に市場を開放したいAirbnbですが、そう簡単にはいかないという難しい事情があります。これからの国の民泊規制などにも大きな影響を受けるAirbnb代行サービス事業に名のある有名企業が参入してこないのは、不確定要素が多すぎるからと言えます。すべては国の規制動向に注視する必要があるでしょう。現在の規制の方向性ですが、残念ながら、届け出のないAirbnbホストは取り締まるという規制強化の動きがみられます。そのため、これに付随するAirbnb代行サービス業者も市場活性化には少し遠いものと思われます。

まとめ Airbnbは個人対個人のもの。代行サービス業者は入れるのか?

Airbnbの理念に、「暮らすように旅する」とあります。もともと、Airbnbは個人宅の一室をその国や地域の空気や生活を感じ、ホストファミリーとの触れ合いが、ホテルでの旅に飽きた人にウケたことで世界に広がっていきました。そうしたコンセプトから、ホテルのようなワンルームマンションを旅行客に提供するというだけであれば、価格面での優位性など特別な理由がなければホテルに負けてしまうのは当然です。

体験プランなどホテル宿泊にないような特別なプランとセットであれば集客を見込めると考えられますが、一元管理等の手がかからない物件ではなくなってしまいます。Airbnbによる遊休資産の活用による経済活性化などが期待されましたが、それによるトラブルが多く、国や地方自治体が規制強化の動きに入ったことはAirbnb代行サービスにとっては大きなマイナスです。違法民泊による摘発対象の多くが、Airbnb代行サービスを必要とするものであったことは市場の縮小をも連想させます。

しかし、まだまだ始まったばかりのAirbnbやその代行サービスです。今のトレンドが突然変わる可能性も十分にあります。これからのAirbnb周辺の業界をこれからも注視していきます。

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