国民年金を未納にした人の末路
実際に未納を続けると、どのような事態になるのでしょうか。Aさんの事例で確認してみましょう。
Aさん(30代)は会社を退職し、それまで貯めた資金で夫婦のお店をオープンしました。同業の仲間とも親交を深め、税金の手続きなどもわかっていたつもりです。
保険と年金も、それぞれ国民健康保険と国民年金へ切り替えました。しかし、国民健康保険の保険料を見て驚きます。前年度の所得で計算され、さらに妻の保険料もかかるため、月々数万円になったのです。
いずれ子どもも望んでいたため、健康保険は重要に感じました。そこで国民年金を後回しにして、健康保険の保険料だけ納めることにしたのです。
お店が軌道に乗れば追納するつもりでいましたが、順調にはいかず、やがて督促状が届くように。同業者が「将来の老後資金は自分で貯めている」と言っていたのを思い出し、公的年金は諦めて自分で備えることにしました。延滞金が加算された時点で見るのが怖くなり、その後督促状を確認すること自体をやめてしまったのです。
その後、配達証明付きで「差押予告通知」が届きます。これまで督促状を無視したため、ペナルティを恐れたAさんはどうしていいのかわからず、途方に暮れていました。
やがて、本当に口座が凍結されたことに気づきます。妻の親に事情を話してお金を借り、なんとか口座凍結を解除できたものの、親の信用を失ってしまいました。
後から聞いたことですが、同業者は年金額が少ないことを考慮し、”上乗せとして”自分で老後資金を貯めていたのです。