「厚生年金に入ると損をする」という考えの落とし穴

扶養内で働いている方などは、パート勤めのため厚生年金に加入していない方も多いです。国民年金の平均が約5万円で、厚生年金に加入すれば平均約10万円。5万円のアップのために、今の手取りを減らしたくないという考えから厚生年金を避けている方もいます。

家庭の事情や背景はさまざまなので、どのような働き方でも尊重されるべきでしょう。ただし、「厚生年金に加入すると手取りが減って損をするから」という考えでセーブしている場合は、多角的な視点で考えてみることも大切です。

たしかに月々の手取り収入は減ってしまうでしょう。しかし、将来の厚生年金が増える以外にもメリットは存在します。

その一つが、年金とセットになる健康保険での傷病手当金。傷病手当金は病気やけがで働けないときに、一定の要件を満たせば給与の約3分の2相当が支給される制度です。夫の保険の扶養になっている場合、この制度の対象外になるため、もし仕事を長期で休むと無給となってしまいます。

他に健康保険のメリットとしては、「出産手当金」の対象になることもあげられます。年金面では「遺族年金」や「障害年金」を充実させられることもポイント。つまり、年金額をアップさせるだけではなく、「保障面も充実させられる」と言えます。

民間の保険でここまで保障を備えようとすれば、月々の保険料は高くなってしまうでしょう。どちらにしても備えは必要なので、このような点からも検討してみることをおすすめします。

また平均受給額はあくまでも全体での平均なので、働き方によってはもっと増やすこともできます。手取り収入が減るラインのときは苦しいですが、長い目で考えてみることも大切です。