一般的に、すべて公立の学校だと教育費が安く抑えられるイメージがあります。私立に比べれば家計への負担は少ないと感じている方は多く、とくに「小学校から私立に通っているのは富裕層の子であり私立中に受験するのも経済的に余裕がないと難しい」という考えが浸透しています。
文部科学省の「子供の学習費調査」は、「子共を公立又は私立の幼稚園,小学校、中学校、高等学校(全日制)に通学させている保護者が、子供の学校教育及び学校外活動のために支出した1年間の経費の実態をとらえる」ことを目的に、平成6年より隔年で行われています。(令和2年度はコロナ禍により中止)
しかし、直近のデータである平成30年度の結果をみると一概に「公立は安い」とはいかないことが分かっています。
オール公立コース15年間で540万円以上
「子どもの学習費調査」を基に幼稚園から高校までオール公立のコースを想定した場合、授業料など15年間で541万円かかることが明らかになっています。
安いイメージのある公立学校ですが「15年で541万円」という金額はインパクトが大きく、現実はオール公立でもかなりかかっていることが分かります。
- 公立幼稚園3年間・・・65万円
- 公立小学校6年間・・・193万円
- 公立中学校3年間・・・146万円
- 公立高校3年間・・・ 137万円
公立コースの場合、一番お金がかかるのは中学生時代です。これは通塾などによる学校外活動費のうち「補助学習費」の金額が影響しています。とくに公立中学の3年生では36.3万円かかり、月3万円以上かかっていることになります。
この「36.3万円」というのは、公立小学校に通わせている子どもの教育費の1年間の平均額と同程度になります。
高校受験に備えて教育費が増えるため、それが公立中学校3年間の総額を押し上げているといえます。ただし、この数値は平均値のため「塾に通わせて年間36.3万円」という家庭が多いことを意味しているわけではありません。