新車販売の50%をEVに。テスラやBMW

世界の状況を見ると、時価総額が100兆円を超えているテスラ(米国)や、2030年までに新車販売の50%をEVにすると宣言しているフォルクスワーゲン(ドイツ)などが現時点でのEV販売台数が多いようです。

また、BMW(ドイツ)も同じく2030年までに50%をEV化する目標を立てており、多くのメーカーが2040年頃に全新車をEV化する戦略を立てているように見受けられます。

なお、EUでは2035年以降ゼロエミッション・ビークル以外の新車販売ができない規制がかかる予定で、日本が得意なハイブリッドカー(HV)やプラグイン・ハイブリッドカー(PHV)も売ることができなくなります。

ちなみに、海外の多くはFCVではなくEVでの目標達成を狙っており、HV/PHV/FCV(日本勢) 対 EV(日本以外)という構図になっていました。HVやPHVに力を入れている日本勢はゼロエミッション・ビークルの推進に非協力的に見えていたかもしれません。

このような状況で、最近になって日本の自動車メーカーもEVに対して前向きな目標を設定するようになりました。

例えば、トヨタ自動車は「2030年までにEVを30車種市場投入し、EVの世界販売台数350万台を目標とする」と2021年12月14日に発表し、関係者に衝撃を与えました。

元々トヨタ自動車はMIRAIを投入するなどFCVに力を入れる少数派である上に、PHVに力を入れているためEVに消極的とも思われていました。その中で、今回は「EVだけで350万台」という目標を発信しEVへの本気度を示しました。ちなみに、350万台というのは、この販売台数だけで経営できる自動車メーカーが存在する程度に多いと考えていただくと良いと思います。

トヨタ自動車はこのEV事業に対して今後4兆円投資する(2兆円は電池関連の新規投資)としています。なお、テレビCMで「選択肢を増やす」というフレーズを聞いたことがある方も多いと思いますが、FCVやPHVに対しても4兆円規模の投資額を用意し、全方位の準備を進めていくようです。

更に、トヨタ自動車だけではなく、本田技研工業も2021年4月に「先進国全体でのEV、FCVの販売比率を2030年に40%、2035年には80%、2040年には、グローバルで100%」という目標を発表して進めていますし、日産自動車も長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」において2030年までにEVの割合を50%にするという目標を掲げています。また、軽自動車に関しても電動化の方針が発表され始めています。

このように現状でEV販売台数の少ない日本メーカーも前向きに対応しており、ゼロエミッション・カー普及に協力的と言えます。なお、米国やドイツ、前述したBMWやフォルクスワーゲンなどもCOP26の共同声明に署名していません。署名していないからといって努力をしていないというわけではなさそうです。