一度決めた養育費の変更
次に、一度決めた養育費の金額を変更することが可能かどうかについてご説明します。
一度、協議や調停で金額が決まった養育費であっても、その後に「事情の変更」が生じた場合には、養育費の増額や減額が認められます(民法880条)。
事情の変更が認められるためには、以下の条件が必要であるとされています。
- 合意等の前提となっていた客観的事情に変更が生じたこと
- その事情変更を当事者が予見できなかったこと
- 事情変更が当事者の責に帰すべからざる事由によって生じたこと
- 合意どおりの履行を強制することが著しく公平に反する場合であること
参考:松本哲泓「改訂版 婚姻費用・養育費の算定」(新日本法規)・194頁)
ここからは、養育費の増減が認められる代表的な事例をご紹介します。
養育費を支払う側の年収が大幅に落ちた場合
まず、養育費を支払う側の年収が大幅に減少した場合には、養育費の減額が認められる可能性があります。
具体的には、収入が2割程度減少した場合には、養育費の減額が認められる可能性が高いです。
ただし、養育費の合意をしたときに予想できるものについては考慮されません。合意時に、養育費を支払う側で転職することがすでに決まっていて、給与が減少することが予想できたような場合には、合意後に実際に減収したとしても、養育費の減額は認められないでしょう。