どうせ税務署の力を借りるのであれば、所得制限をするのではなく、すべての子供に10万円を給付した上で子供を扶養している高額所得者に10万円課税する、という方法もあります。この方が遥かに事務コストは安いはずです。

政府は、住民票を見ながら18歳以下の子供全員に10万円の案内(あるいは10万円の現金封筒)を送付すれば良いわけですし、税務署は子供を扶養している高額所得者から10万円を徴税すれば良いわけです。

高額所得者の子供で扶養されていない人は10万円もらい得ということになるでしょうが、18歳以下で自分で稼いでいる高額所得者の子供は稀だと思います。

また、子供を扶養している高額所得者は税率が高いので、扶養控除の申請をするはずです。したがって、「子供がいるのに扶養控除を申請せずに10万円の課税を免れる」という人も少ないと思います。

余談ですが、新型コロナをめぐって税務署の協力が必要な場面は数多くあったはずです。たとえば給付金詐欺が横行していたようですが、「前年から所得が半減した事業者に補助金を払う」という場合には、「前年から所得が半減した事業者には前年に支払った税金を払い戻す」という制度にすれば、前年の所得を誤魔化すことができなかったはずです。

政府部門が持っている情報は、縦割り行政を避けて政府部門全体で有効に活用しましょう。その際、情報をマイナンバーで紐付けして管理することで行政の効率化を図るべきことも、当然ですね。政府が非効率な方が良い、と主張する人は稀でしょうから(笑)。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義