さらに、家族を帯同するとなると、日本語を理解しない子供のために学校で日本語を教える必要が出てくるかもしれません。そうなると、日本語を教える教師を雇う必要が出てくるのみならず、さらには家族の分を含めて様々な行政サービスを多言語で提供するための通訳を雇う必要も出てくるかもしれません。
それでは、労働力不足を補うための外国人労働者の受入が、かえって日本人労働者への需要を増やして労働力不足を加速してしまうことにもなりかねません。
外国人受け入れで増える行政コストは雇い主が負担すべき
外国人を受け入れると、行政コストがかさみかねません。少なくとも役所の住民票担当係に通訳を雇う必要が出てくるだけでも行政コストがかさむわけです。家族の帯同を認めれば、日本語を教える教師を雇うコスト等々も発生しかねません。
もしかすると、外国人労働者の一定割合は老後に生活保護を必要とするかもしれません。日本で働いた年数が少ないと、年金保険料の支払い実績が不十分で、老後の年金が十分に受け取れない可能性もあるからです。
そうしたコストは外国人労働者を雇う企業が負担すべきです。そうすれば、「外国人労働者を雇うと莫大な利益が得られるから、行政コストは喜んで負担する」という企業だけが外国人を雇うことになり、問題は軽微だからです。
仮に、「外国人労働者を雇うと利益が1円増えるから雇いたい」という企業のために外国人労働者を受け入れて、そのために多額の行政コストがかさむのであれば、受け入れることは日本の国益にならないでしょう。つまり、本来受け入れるべきではない外国人労働者も受け入れてしまうことになるわけです。
しかも、そのコストが「外国人労働者を受け入れたことで賃上げが得られなくなった日本人労働者」の支払った税金で賄われるとすれば、それは大いに問題と言わざるを得ません。