2021年4月1日から、改正高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)が施行されました。大きなポイントは、従来の「65歳までの雇用確保措置」義務に加えて、「70歳までの就労機会確保を企業の努力義務とする」という点が盛り込まれたことです。
この流れのなかで、あらためて「社内フリーランス」という言葉が注目を集めています。今回はこのキーワードや、“長く働き続けないといけない日本"の実態を見ていきます。
加速し続ける高齢化
まず本題に入る前に、少し前提となる条件を見てみましょう。
総務省の資料で日本の高齢者(65歳以上)人口の割合の推移を見ると、1950年(4.9%)以降一貫して増加しており、1985年に10%、2005年には20%を超えました。そして2021年には実に29.1%に到達。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、この割合は今後も上昇を続け、第2次ベビーブーム期(1971年~1974年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には35.3%になると見込まれています。
つまり改正高年齢者雇用安定法の背景としては、高年齢者の働き手を増やして人材不足に対応することや、年金などの社会保障の担い手を増やす狙いがあります。もちろん年金受給開始年齢の引き上げとも連動しています。
ただ今回の「70歳までの就労機会確保」は、あくまで努力義務です。いままでの流れから将来的に「完全義務化」になる可能性は高いと考えられますが、現状では「努力義務」として企業には5つの選択肢があります。