実際には再雇用延長が選択されるのか

ただ、“雇用以外"の対応に関しては労働組合等の同意が必要となります。さらに前述の企業の5つの選択肢から、実際にどれが主に選択されるかは、まだ見えてきていません。

参考として、希望者が65歳まで働けるようになった2013年の改正から現在までの企業動向をみると、多くの企業は「70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)」を選択しました。

2020年現在で、この継続雇用制度を導入している企業は76.4%。これは、定年年齢の引上げ(20.9%)や定年制の廃止(2.7%)を選択している企業を大きく上回っています。

多くの企業が人件費負担の少ない再雇用制度を導入しているので、今回もしばらくの間は再雇用延長が主流になると予想されます。

2021年1月の調査(日経ビジネス実施)では、定年後再雇用の実態として、給料4~6割減が過半数を占めるとしています。つまり再雇用制度で人件費抑制はある程度、達成されています。とはいえ、社内フリーランスという選択肢も今回の改正で現実となったため、今後の動向には注目したいと思います。

この“より長く働かなければならない"傾向は、日本だけではなく世界共通です。日本と同じように、年金支給開始年齢の段階的引き上げと連動して定年延長(再雇用制度等を含む)する国もありますし、アメリカやイギリスのように原則的に定年がない国でもリタイア時期の高年齢化は進んでいます。