厚生年金の「個人差」に着目

さきほども触れたとおり、国民年金は満額から納付期間が足りない分を満額から差引く計算式を活用しているため、男女差に大きな差はありませんでした。一方、厚生年金については、現役時代の働き方や報酬額が影響するため、個人の格差も大きくなっているようです。

厚生年金の受給者の内訳を紐解いていくと、ひと月あたり20万円以上を受給する人は、男性で24%、女性で12.8%。10万円未満の人は、男性で10.6%、女性では約半数の49.9%になります。

ごく僅かであるものの、月30万円以上を受給する人は、男性では0.17%、女性では0.007%存在しています。一方、月5万円未満も男性で1.4%、女性で5.9%存在しているのです。

まずは年金額の確認を

自営業やフリーランスのような働き方をされている人は、会社勤めの厚生年金加入者と比較すると年金額は少なくなる傾向があります。

国民年金のみの加入期間が長くなることが予想される方は、自らのチカラで老後に向けての備えは必須と言えるでしょう。国民年金より手厚く見える厚生年金ですが、ここまでのお話のとおり、受給額には個人差が生じます。

いずれにせよ、いざ年金を受取るタイミングで「もっと受け取れると思っていたのに…」とならないように、ねんきん定期便やねんきんネットなどを活用し、「今から」年金額を把握しましょう。老後資金の準備の第一歩です。

「老後の資金」を、自分でつくる

低金利時代と呼ばれるいま、預貯金で漠然とお金を持ち続けていても、受け取る金利はほんのわずか。資産を「増やす」ことには繋がりにくいといえるでしょう。

そこでぜひ視野に入れていただきたいのが「お金に働いてもらう」という発想、つまり「資産運用」のスタートです。公的な年金だけに頼らず、自助努力で資産を増やしていければ老後の安心につながるでしょう。

資産運用で大切にしたい3つの視点が「長期・分散・積立」です。

預貯金とは異なり、資産運用には元本保証はありません。集中的に一つの対象に投資をするのではなく、リスクを分散しながら長期で積立を行えるかどうかがカギを握ります。

思い立ったら吉日。老後の資金の準備は「今から」スタートしてみませんか。ゆとりの老後に向けた布石は、先手先手で打っていきたいものです。

「おうち時間」を有意義に活用して、資産運用でお金を育てるしくみ作りの「ファーストステップ」を踏み出してみませんか。

参考資料

吉田 奈都子