任天堂(7974)は、2017年1月31日に2017年3月期第3四半期累計(2016年4-12月)決算を発表。2017年3月期の通期業績予想は、経常利益と当期純利益が上方修正された一方で、本業の利益を示す営業利益は下方修正。
株式市場は表面的な上方修正に一時的にポジティブに反応するかもしれないが、本業である営業利益は下方修正。決算内容は好悪材料入り混じり、結局3月3日発売の“Nintendo Switch”の販売を見るまでは静観せざるを得ないという思惑が主流になると見る。投信1編集部では、株価に対して「中立」な印象と捉えている。
為替前提も円安にし、営業利益を下方修正の中、好悪材料をちりばめた決算発表をした会社に巧さを感じる。
決算ハイライト
第3四半期累計の売上高は対前年同期比▲27%減、営業利益は同▲38%減、親会社株主に帰属する四半期純利益(以下、当期銃利益)は同+154%増。
「ポケットモンスター サン・ムーン」や「スーパーマリオメーカー for ニンテンドー3DS」が大ヒットとなり、ソフトウェアとともにハードウェアの販売も牽引。ニンテンドー3DSのソフトウェアの販売本数は4,678万本で対前年同期比+20%増、ハードウェアの販売台数は645万台と同+10%増となった。
その一方、Wii Uは低調。ハードもソフトも販売数量を大きく減らし、“Nintendo Switch”へ据え置き型ゲーム機としてつなげていけるかという期待だけを残す結果。
また、「ポケモンGO」を扱う株式会社ポケモンの持分法による投資利益が167億円、またシアトルマリナーズの運営会社の持分の一部を売却した際の投資有価証券売却益が635億円と、任天堂単独の事業以外で大きな利益を計上した。
これらを反映して、通期の業績予想を修正している。売上高は修正なしだが、営業利益を300億円から200億円へ、経常利益を100億円から300億円へ、当期純利益を500億円から900億円に修正している。
同社は配当基準を決めており、今回の修正によって年間配当予想が一株当たりこれまでの210円から380円に引き上げられた。
ここに注目!
投信1編集部では、短期的には“Nintendo Switch”の販売の初速がどの程度か、またスマートフォン向けアプリで今回リリースが延期された「どうぶつの森」(個人的にはソーシャル系で息の長いコンテンツになるとみている)、中期的にはニンテンドー3DS以降のモバイル端末の戦略に注目している。
LIMO編集部